研究概要 |
「保育の質」が学童期の人格発達にどう影響するかを捉えることを目的に13年度(1年目)は『質』を捉える以前にその前提として、日本における保育実践には4つのタイプがあることを明らかにした。14年度(2年目)には、そのタイプによる違いが学童期の人格発達にどう関わるかを見るため、小学校の4,5年生を対象に人格発達を主張性で見ることにし、小学校高学年用に作成された濱口の主張性尺度を活用した。その結果、小学校4,5年生においては、幼児期の影響も全面的に否定はできないというほんの少しの傾向は見られたが、全体としてはそれよりも小学校入学後の恵右京の方が大きいのではないかということが明らかになった。 そこで、16年度(3年目)には、異なる類型の園ですごした効果を5歳児を対象に保育における子どもの姿で捉える研究と去年の継続調査の両面で発展させた。前者では、観察によるほか、5歳児の問題解決過程における合意形成能力においてみる実験的な取り組みも行った。その結果、4類型において子どもの合意形成過程にはそれぞれ違いがあることが明確になった。後者では、小学校低学年用の主張性尺度を開発し、それによって、保育類型によりどのような違いがでるかを見ることにした。そこから保育の質への洞察を深めていきたいと考えた。実際には、小学校低学年の主張性尺度の開発に、力を入れた。まず濱口の尺度に絵をつけ紙芝居風な質問紙を作成し、高学年に行い、絵添付の場合、その方法自体が結果に影響を与えることがないかを調べた。紙芝居方式では伝わりにくい項目をはずして調整し、1,2,3年生対象に、紙芝居型の調査を行った。その結果、低学年用の主張性尺度とした。 つぎに、この尺度によって保育類型の主張性に及ぼす効果を見る研究が必然になる。しかし、今年度には間に合わなかったため、ここまで終了する時まではこの研究を続けていく所存である。
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