研究課題
基盤研究(B)
本研究は、男女共同参画社会の形成に向けた生涯学習の振興並びに女性のエンパワーメントの推進に資するため、日韓両国の女性の生涯学習の実態と学習要求を解明し、生涯学習の活性化方策を提示することを研究目的として実施した。この目的に沿って、両国共通の質問紙を用い、生涯学習関連機関および学習者を対象に調査を行った(日本145機関、940学習者/韓国200機関、1620学習者)。また、生涯学習と女性のエンパワーメントとの関連性について考察を深めるために、ヒアリング調査も併せて行った(平成13年度)。その結果を整理・分析し日本研究メンバーと韓国研究メンバーで共同研究会議を4回行って討議し(平成14年度・15年度)、各国で報告書を作成した(韓国:平成14年度、日本:平成15年度)。日本で刊行した報告書では、データ分析の背景となる制度的・政策的側面について、日韓両国を比較した。また、質問紙調査とヒアリング調査を分析し、「日本型中高年女性モデル」と「韓国型子育て期女性学習者モデル」という2つの学習者モデルを抽出し、日韓女性の学習行動の特徴を明確にした。さらに、エンパワーメントを「内面的な変化」と「社会的な変化」に分けて考え、両国にとって「社会的な変化」につながる生涯学習のあり方が課題であることを確認し、女性のエンパワーメントを促進するための学習プログラムを提案した。本研究は、韓国では平成14年度に、日本では平成15年度にシンポジウムを実施して研究成果を公開し、研究者、行政関係者、学生、一般参加者などと議論を行うことができた。