研究課題/領域番号 |
13410091
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
菊地 栄治 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (10211872)
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研究分担者 |
永田 佳之 国立教育政策研究所, 研究企画開発部, 主任研究官 (20280513)
小松 郁夫 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (10130296)
鐙屋 真理子 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 総括研究官 (20249907)
澤野 由紀子 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (40280515)
橋本 昭彦 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (80189480)
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キーワード | ホリスティックな知 / 教育改革 / 近代性 / つながり / ゆらぎ / 聴く / 多忙感 / 関係性 |
研究概要 |
今年度は、全国公立中学校校長・教員調査データの分析とホリスティックな学校づくりの現地調査を中心に研究を進めた。中間報告書記載の主な知見は、以下の通りである。 (1)とくに町村部では「つながり」が切れておらず、比較的ポジティブな状況にある。 (2)教員の仕事時間は部活動指導時間を加味すれば約13時間に及ぶ。女性の場合、家事・育児時間が加わる。全般的に、生徒とかかわる時間を奪う雑務への不満が大きい。 (3)「総合的な学習の時間」が生徒にポジティブな影響を与えていると評価されるのは、「他校にはない特色」「地域とのつながり」等を旨とする場合である。 (4)元気を増進する学級づくりは、「保護者と親しく交流する機会」「生徒の関心を尊重する動き方」「家庭環境などの丁寧な把握」を特徴とする運営方法と関連している。 (5)「ゆらぎ」という点では、準大都市の中学校の状況が最も困難である。校内暴力や「学級崩壊」などの回復率の点で言えば、「地域のつながり」「教員同士の関係性」「子どもへのまなざし」「複数担任制などのシステム面での工夫」などが力を発揮する。 (6)不登校の発生にも、「子育て環境に恵まれない」など地域の困難さ(「つながりの切断状況」)が関わっている。学校という場全体の関係のありようも影響を及ぼす。 (7)校長・教員ともに、教育改革が現場の現実と乖離していることを鋭く指摘している。改革への不満は、熱心な教員ほど大きい。ここに今次の改革の重要な特徴がある。 (8)現在の教育改革は個人主義・操作主義的な流れに乗るか、学校の機能をスリム化するか…いずれかに傾く傾向がある。しかし、生徒に元気をもたらすのはいまの困難さと丁寧に向き合う教員たちの試みである。多忙感と虚無感が蔓延しつつある中で、こうした構えをサポートしていくことが行政や研究に期待される。
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