研究概要 |
1、海外アイヌ資料の総目録作成とデータベース化 13,200点余の海外アイヌ資料に関するデータベース化はほぼ終えたが、とりいれた学術情報は文字情報のみである。理想的には写真付きにすべきであるが、資料写真の映像権は各博物館設置者に属するため、使用料金の関係で、映像情報を付すことは不可能である。 これらの海外アイヌ資料はおよそ75の博物館等に保管されている。各博物館所蔵資料はこれまで調査終了とともに個別、断片的に報告してきたが、研究者の利用の便を図るため、各博物館所蔵資料を『海外アイヌ・コレクション総目録』(小谷凱宣・荻原眞子編)に取りまとめ、研究成果報告書第2冊として刊行した。 2、「大学と科学」公開シンポジウムの開催と発表収録集の編集と刊行 平成14年度に北海道大学で第17回「大学と科学」公開シンポジウムを開催し、その発表論集『海外のアイヌ文化財:現状と歴史』(小谷凱宣編)を南山大学人類学研究所から刊行した。 3、「蝦夷志料」に関する研究と引用書総目録の作成と刊行 『蝦夷志料』(前田夏蔭編、全209巻、1865年)は幕命により、当時の江戸で入手可能な蝦夷地に関わる古文書内容抜粋から構成されており、幕末に編纂された蝦夷地についての百科事典、あるいは蝦夷地に関する「地誌ないし民族誌」と見なされている。しかしながら、余りにも大部(約8,500頁)であるため、未翻刻のまま内閣文庫に所蔵されているのが現状である。 この『蝦夷志料』に直接引用されている引用書目誌稿と各巻にそれらの古文書類がどのように利用されているかを示す総合目録を、研究成果報告書第1冊『海外アイヌ資料にもとづくアイヌ文化の地域差・時代差に関する研究』に収録した(全223頁)。この総合目録により、蝦夷志料の内容の把握が容易になり、関係者の蟻夷志料の利用頻度が上がることを期待できる。
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