中国法制文献の日本への伝来とその伝存状況に関する基礎的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13410099
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
• 研究分担者: 高塩 博 國學院大學, 日本文化研究所, 教授 (40236211) ; 池田 温 創価大学, 文学部, 特任教授 (90000570) ; 小口 彦太 早稲田大学, 法学部, 教授 (40063797) ; 大津 透 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70194199) ; 古瀬 奈津子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20164551)
• キーワード: 法典 / 律令 / 礼制 / 東アジア / 書誌 / 国際研究者交流 / 中国:韓国

研究概要

今年度は、昨年度に引き続き、主として目録類を通じた国内の図書館等の漢籍所蔵状況についての情報の収集につとめ、特に京都大学総合博物館と、昨年に続いて東京大学東洋文化研究所については、実地調査を行った。また、昨年から引き続き2名の研究協力者を雇い入れ、鎌倉時代及び室町時代における、中国法制文献を中心とした漢籍輸入状況の悉皆調査を進めた。
日本への法典将来史に関連する資料の採訪のために、旅順博物館所蔵の出土文字資料若干を実地調査した。更に日本における律令法典編纂史において鍵を握る唐永徽令を復原するための重要な新発見書籍である宋天聖令の調査のために、海外共同研究者に入っていただいた戴建国氏と会談を持ち、日本における唐令の継受の問題、及びその前提の作業としての、唐令拾遺補の補訂の準備のために、来年度、研究組織全体で逐条的な審議会を開催する方向で意見が纏まった。以上の調査・折衝に並行して、各人の分担に基づき日・中の法制の比較、並びに法典輸入の背景としての国際交流史の検討を行い、その成果の一部を著書・論文の形で公表した(研究発表の項参照)。
来年度は、引き続き国内の中国法典所蔵の状況につき調査を継続し、また研究協力者を増やして平安時代以降の漢籍輸入状況の調査の面で一応の成果をまとめる一方で、上記の研究会に向けて、宋天聖令のうち各自の専門とする分野に対応する条文について精細に調査し、唐令復原と日本における唐令継受の様態について、よりいっそうの検討を加えていく予定である。

研究成果

• [文献書誌] 坂上康俊: "符 官符 政務処理"日中律令制の諸相. 145-164 (2002)
• [文献書誌] 古瀬 奈津子: "官人出身法からみた日唐官僚制の特質"日中律令制の諸相. 187-208 (2002)
• [文献書誌] 古瀬 奈津子: "天皇と都市空間"天皇と王権を考える. 8. 97-126 (2002)
• [文献書誌] 丸山裕美子: "唐・宋節假制度の変遷"日中律令制の諸相. 231-256 (2002)
• [文献書誌] 丸山裕美子: "古代の天皇と病者"天皇と王権を考える. 8. 203-226 (2002)
• [文献書誌] 大隈清陽: "座具からみた朝礼の変遷"日中律令制の諸相. 257-282 (2002)
• [文献書誌] 大津 透: "唐日賦役令の構造と特色"日中律令制の諸相. 311-332 (2002)
• [文献書誌] 大津 透: "農業と日本の王権"天皇と王権を考える. 3. 15-40 (2002)
• [文献書誌] 川村 康: "宋代用律考"日中律令制の諸相. 429-450 (2002)
• [文献書誌] 高塩 博: "会津藩における『大明律例訳義』の参酌"日中律令制の諸相. 451-470 (2002)
• [文献書誌] 高塩 博: "江戸幕府法における敲と入墨の刑罰"律令論纂. 137-178 (2003)
• [文献書誌] 小口 彦太: "清律「共犯罪分旨従」条における「造意」概念についての覚え書き"日中律令制の諸相. 471-484 (2002)
• [文献書誌] 佐伯弘次: "室町後期の博多商人道安と東アジア"史淵. 140. 18-35 (2003)
• [文献書誌] 安藤 保: "文政・天保初期の薩摩藩と石本家(一)"史淵. 140. 1-17 (2003)
• [文献書誌] 佐伯弘次: "モンゴル襲来の衝撃"中央公論新社. 270 (2003)