研究課題/領域番号 |
13410109
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (50183067)
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研究分担者 |
亀田 修一 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (10140485)
李 成市 早稲田大学, 文学部, 教授 (30242374)
東 潮 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70243673)
高 正龍 立命館大学, 文学部, 助教授 (40330005)
吉井 秀夫 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90252410)
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キーワード | 韓国 / 出土文字資料 / 文字瓦 / 銘文土器 / 木簡 |
研究概要 |
本研究は、主に韓国のそして一部日本の機関に所蔵する出土文字資料(文字瓦・銘文土器・木簡等)を調査・検討し、歴史資料としての活用をめざすものであり、継続的な調査を経て総合する必要がある。本年度は、前年度にひきつづき、公州・扶餘を中心としつつ、新たに全羅北道をも対象とした。実際に拓本採取・撮影などの調査をしたのは、韓国では公州大学校博物館(開泰寺祉・安光鎭城・九龍寺址)・忠清埋蔵文化財研究院(無量寺)・国立扶餘文化財研究所(扶蘇山城・王宮里遺跡)・国立扶餘博物館(扶蘇山城・扶餘市内)・全北大学校博物館(帰信寺址・安心寺址・萬福寺址)・国立全州博物館(王宮里遺蹟・東固山城)・円光大学校馬韓百済文化研究所(扶安実相寺址)の諸機関そして国内では沖縄県立博物館・浦添市教育委員会(高麗銘)である。また、全州大学校博物館・国立文化財研究所・畿甸埋蔵文化財研究院・檀国大学校博物館・同埋蔵文化財研究所・漢陽大学校博物館においても、資料の観察をおこなった。研究の目的のひとつは、こうした調査成果を集成し、また未調査の分をも加えて、資料集として活用できるようにすることであり、そのために準備をすすめてきた。もう一つの目的は、調査をふまえた研究であるが、それについては個別になされており、特に「大唐」銘瓦当や「会昌七年」銘平瓦をめぐる検討は、16年度のなかばに刊行されるべく、準備がなされている。個人的には、かつて調査したソウル大学校博物館および梨花女子大学校博物館の所蔵する広州船里出土の文字瓦について、「地名+受+國蟹口船家+草」という銘か、その断片が多数みられ、その地域が命を受けて分担して造った瓦で、それが蟹口船家という国家的な施設(造船所とか軍船の港とか)を草(創建)するときに使われたものであると読解することができる。これまでは船里で各地の瓦を造ってそれぞれに供給したと考えられていたが、そうではなく、国家的な施設を造るにあたって、各地に瓦を提供するよう命じるようなシステムがあったことが知られ興味深い。それは研究の一端であるが、地名も年代を限定する材料になりうるものの、考古学的観点から年代を限定することによって、歴史の中に活かせることができよう。このような個別事例の検討は、とうぜん特殊具体的なものであるが、研究篇としてまとめる予定であり、とりあえず、中間的に16年秋に刊行される予定である。
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