研究概要 |
1 岡山県吉備郡真備町二万大塚古墳の第3次発掘調査の整理作業を実施し,多量の玉類をはじめとする出土遺物については,ほとんどのものの実測図の作成とトレースを行い,成果報告会を開催して,他の研究者も含めて詳細な検討を実施した。玉類については,分析用はかりを用いて詳細な重さを記録した。 2 二万大塚古墳の第4次発掘調査を実施し,すべての発掘調査を完了することができた。昨年度の第3次調査では,横穴式石室から予想を大きく上回る点数の副葬品が出土し,調査を完了することができなかったためである。横穴式石室についての詳細な整理作業は次年度に実施するが,備中南部地域で6世紀中葉に前方後円墳の築造が復活する段階での,この地域の首長の性格を明らかにする情報が多く得られた。 3 造り出し上から出土した埴輪や須恵器の詳細な位置や接合関係にもとづいて,地理情報システムを用いた検討を実施し,遺物の元の位置や,円筒埴輪列の欠落の意味を推定するための重要な資料が得られた。 4 二万大塚古墳をはじめとする古墳の評価について,12月に実施された考古学研究会岡山例会シンポジウムで,「『雄略朝』期以後の吉備地域」と題する発表を行い,議論を通じて理解を深めた。 5 二万大塚古墳の発掘調査報告書の刊行に向けた準備を進めた。出土土器をはじめとする遺物について,デジタルカメラを用いて写真撮影を行った。 6 研究の副次的な目的として,本年度も発掘調査の過程を,インターネットを用いてリアルタイムで公開した。
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