1.平成13年8月3日から同月11日まで、高知県土佐山村初平ヶ岩屋洞窟の発掘調査を実施した。洞窟内とその周辺の地形測量を完成させるとともに、洞窟内の2カ所(西区・東区)とテラスの1カ所においてトレンチを設定した。洞窟内東区トレンチでは深さ約1・5mまで掘り下げたが、地表下約20cm-40cmの第3層は、出土木炭の放射性炭素年代測定により弥生時代に属することがわかった。第4層には赤褐色の火山灰を含む堆積層がみとめられ、火山ガラス分析の結果、鬼界アカホヤ火山灰であることが判明した。第5層以下には、AT火山灰あるいはKj-p1火山灰等の可能性もある火山灰を微量含む堆積層があるようで、少量の骨片が出土した。したがって今回の発掘により、本洞窟が旧石器時代にさかのぼる動物化石産地である可能性は高くなった。 2.旧石器時代末期の細石核が出土している島根県松江市市場遺跡で試掘調査を行ったほか、北海道・秋田・宮城・神奈川・新潟・長野・大分・沖縄その他における旧石器時代遺跡・動物化石産地を踏査し、あるいは出土資料の観察等を行った。 3.フランスの旧石器時代および中石器時代研究の専門家であるFrancoise AUDOUZE氏とCristophe CUPILLARD氏を招聘し、日本の旧石器時代・縄文時代の遺跡を踏査しながら大陸と日本列島における人間の居住様式と動物群との相関について意見交換を行うとともに、今後の研究計画について打ち合わせを行った。
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