(1)高知県土佐郡土佐山町初平ヶ岩屋洞窟においては、洞窟内東区の昨年度調査区をさらに掘り下げるとともに隣接地へ調査区を拡張したところ、アカホヤ火山灰の純層を発見した。同火山灰層の下位から縄文時代早期土器および木炭が出土し、その14C年代は8990±40calBPであった。したがって本洞窟においては、遅くとも縄文時代早期までには居住がはじまっていたことが明らかになった。 (2)岡山県新見市足見NT洞窟においては、1996年度までの調査区の北側を拡張して地表下約1mの深さまで掘り下げた。その結果、中期更新世中期と推定されるシカ・イノシシその他齧歯類等の動物化石を多量に出土し、化石包含層がさらに北へ続くことが判明した。なおこれら化石のより正確な年代を調べるため、化石を覆ったトラバオチンを材料としてウランシリーズによる年代測定を依頼中である。 (3)旧石器時代遺跡・更新世動物化石産地の踏査については、岡山県阿哲台の石灰岩洞窟を対象としておこなった。その結果、以前から大型哺乳動物の骨片を採取していた鼻グリ穴洞窟において新たな骨片を発見し、有望な対象地である可能性が高くなった。 (4)フランスにおいて海外共同研究者と研究の打ち合わせをおこなうとともに、パリ盆地およびジュラ地方の旧石器時代遺跡を踏査し、旧石器人の居住様式と動物群との関係について討論をおこなった。
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