研究課題
基盤研究(B)
前方後円墳の築造規格について再検討し、古墳時代前期から中期にかけて、その変遷と系列が明らかになった。とくに大王墓とは別に、桜井茶臼山古墳に始まる系列があり、倭王権中枢に複数の権力主体があることが推測できる。特定地域のケーススタディとして、河内地域の玉手山古墳群の発掘調査を実施し、また和泉地域・播磨地域において前方後円墳の測量調査を実施した。また全国の前方後円墳のデータベースを作成し、大王墓のデジタルデータ化を進めた。以上の結果、歴代の大王墓が仕様を新たにし、その大王と政治的関係を結んだ地域首長が相似形の前方後円墳を築造していることを確認することができた。これが前方後円墳の築造による倭王権と地域権力の政治的関係を表示する基本システムである。また、相似墳の追求によって、歴代の大王に与した地域勢力を具体的に明らかにしうる見通しをえた。玉手山古墳群の調査の結果、大王墓がオオヤマト古墳群から佐紀古墳群へ、さらに古市古墳群へ移動することに連動して、河内においても有力な前方後円墳を築いた勢力が交替し、和泉・播磨においても同様である。前方後円墳の築造規格に複数の系列があることも考慮すれば、倭王権はいまだ権力主体が1本化されておらず、内部の権力闘争により、前期後葉と中期はじめの2度にわたって政変が生じたと推定できる。
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