研究課題/領域番号 |
13410131
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
HONES Sheila 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70206035)
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研究分担者 |
丹治 陽子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (90188459)
丹治 愛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90133686)
草光 俊雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90225136)
矢口 祐人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00271700)
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キーワード | 都市 / 田園 / 自然 / 地理学 / 自然主義 |
研究概要 |
本研究は、(1)時代を19世紀末にかぎって、アメリカおよびイギリスの都市の表象を新歴史主義的に分析するさいに参照すべき一次資料のリスト(歴史、文学、思想など学際的な)をつくり、(2)世紀末文学テクストを、同時代の他の歴史、思想資料などと読みあわせることで、英米の世紀末文学における都市の表象の新たな諸相をあきらかにしようとするものである。 研究の2年目にあたる本年は、昨年にひきつづいて、それぞれの担当者が(1)関連する第一次資料と二次資料の収集と読解をつづけながら、(2)予備的な論文をまとめ、お互いどうしのあいだで、あるいは内外の学会で成果を発表した。昨年は、Raymond Williams, The Country and the Cityのような基盤となる資料を共同で読むことが多かったが、今年はそれぞれ個別の主題ごとに資料を読んでいくことが多かった。そのかわりに、これまでの研究成果の発表をそれぞれが行ない、相互にコメントをしあうという形にした。 たとえば、シーラ・ホーンズは、F.Scott FitzgeraldのThe Great Gatsbyをとりあげ、そのなかで,場所と権力の構造とがいかなる相関的関係をもたされているかを明らかにし、そのような「倫理的地理学」の観点からアメリカの都市の表象を論じた。丹治愛は、E.M.ForsterのHowards Endをとりあげ、1880年代の都市論からはじまり、20世紀になって台頭してきた田園回帰的傾向の文化的コンテクストのなかにこの作品を置きながら、この時代の否定的都市イメージの系譜をたどった。さらに、丹治陽子は、Jack LondonのThe Call of the Wildをあつかい、都市と自然という二項対立的イメージをとりあげ、フランスとアメリカの自然主義文学において、自然の価値づけがどのように異なっているかを論じた。
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