研究概要 |
本研究は、20世紀最大のフランスの劇詩人であり,有能な外交官であったP.クローデルの詳細な滞日年譜を日仏兩語で作成することを目的としている。期間は、彼が旅行者として滞日した1898年5月28日〜同年6月21日、及び駐日大使として滞日した1921年11月18日〜1925年1月23日、1926年1月28日〜1927年2月12日とし、記載内容は、外交、著作、書簡、思索、訪問、旅行、その他とした。 そのために、クローデルの日記、書簡、作品、日仏両国に保存されている外務省資料、当時の日仏定期刊行物、研究論文、その他関連資料を既刊・未刊にかかわらず徹底的に収集し、調査・整理することに努めた。 当初は、2001年3月末までの完成を目指したが,複数の資料に見られる同一事項の記述のばらつき,そのための再調査,原資料との照合,現地調査などに手間取り,作業が難航した。しかしながら,科学研究費補助金に再度申請し,2001年4月以降調査を継続することができることになった。 かくして、当初の目的であったクローデルが駐日大使として帯日した全期間にわたる年譜を完成させ、ここに公表することができた。日本の影を深く宿した作家・外交官としてのクローデル研究の飛躍と,彼を軸として展開した日仏両国の外交文化交流の解明に寄与する基礎的資料を提供することができたことを幸いに思う。
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