研究課題/領域番号 |
13410135
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鍛治 哲郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30135818)
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研究分担者 |
高橋 宗五 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10134404)
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
臼井 隆一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90092668)
柴 宜弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50187390)
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
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キーワード | ドイツ理念 / ヨーロッパ理念 / ヨーロッパ統合 / ナショナリズム / ドイツ・ロマン主義 / 汎ゲルマン主義 / 汎スラヴ主義 |
研究概要 |
20世紀末に近代の産物である「国民国家」を否定する方向でヨーロッパ統合という試みがなされる一方、旧ソ連・東欧諸国においては、ソ連の解体し、「東欧革命」のあと、逆に「国民国家」として新たな国家統合を試みる動きがはじまり、各地で紛争が生じている。本研究はこうした状況を踏まえ、それ自体多様な歴史的内実を有するドイツ理念とヨーロッパ理念の相関関係という問題を、特に20世紀における展開を中心に、今日的視点で整理することを目的としている。その特徴は、ドイツを中心としつつも、歴史的にはギリシア、ラテン文化・思想の伝統を踏まえ、地域的には周辺諸地域、とりわけ旧東欧、ソ連諸国との関わりのなかで、ヨーロッパ統合の時代における新たなドイツ理念の展開を研究するところにある。 初年度である平成13年度は、6月に本研究参加者全員による研究細目計画会を開催し、研究目的と方法についての議論を行なった後、議題で月に約1回、計7回の研究会を行なった。そのなかで確認されたことは19世紀のドイツ・ロマン主義や20世紀初頭のドイツにおける民族主義がその周辺諸地域に与えた大きな影響であり、そうした地域、とりわけバルカン諸国においてはこの影響下で作り上げられた民族的な神話とそれに基づく人々の集団的な記憶と強力なナショナリズムが今日に至るまでなお力を持ち続けているということであり、またバルカン諸国、バルト海地域におけるドイツ理念の展開を跡づけることができた。次年度は、こうした成果を踏まえて、とりわけ「汎ゲルマン主義と汎スラヴ主義」、「カトリック的ヨーロッパとプロテスタント的ヨーロッパ」という問題を中心にさらに研究を進めていく。 なお、今年度の支出は消耗品の割合が大きくなったが、これは研究参加者の共同の利用の便を考慮して、いくつかの資料をCD-ROMで購入したからである。
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