研究課題/領域番号 |
13410136
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
下宮 忠雄 学習院大学, 文学部, 教授 (90101592)
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研究分担者 |
宮下 茂 学習院大学, 文学部, 教授 (30080419)
川口 洋 学習院大学, 文学部, 教授 (60080412)
轡田 收 学習院大学, 文学部, 教授 (90051325)
保阪 良子 学習院大学, 文学部, 助教授 (20229165)
大貫 敦子 学習院大学, 文学部, 教授 (70176957)
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キーワード | ポスト・ナショナル / 脱・ドイツ / ヨーロッパ共同体 / ナショナル・アイデンティティの相対化 / 多文化社会 |
研究概要 |
今年度は「ポスト・ナショナル」というキー概念の有効性と適用範囲を明らかにするために、申請時に設定した個別のテーマについて研究分担者グループがそれぞれ調査し、その結果をまとめた。 1.戦後ドイツ社会が「脱・ドイツ」化(旧西ドイツ)および「西側世界への接続」(旧東ドイツ)へと方向づけられた歴史文脈にあって模索されたアイデンティティの諸相を文学・思想および言語学の各分野で検証した。 2.1970年代後半からの外国人移入にともなう多文化社会化による揺らぎのなかで、アイデンティティがどのように論じられたか、特に文学研究、言語学研究、言語教育での具体的事例をもとに分析した。 3.過去のドイツ社会、特に(1)18世紀末から19世紀初頭におけるユグノーの場合、(2)亡命者の場合、(3)啓蒙期ベルリンのユダヤ人の場合、(4)ブコヴィナのドイツ人の場合に読みとれる「脱・ドイツ」的アイデンティティとドイツ文化という固有な枠組との拮抗関係を検証した。 4.1980年代後半以降に顕著になるアメリカ流のグローバリゼーションをドイツ社会がどのように受け止めたのかを次の三点から検証した。(1)世界共通語とも言える英語に対し、ドイツの学校のカリキュラムの次元での対応を調査、(2)アメリカ型のカルチュラル・スタディーズのドイツにおける受け止められ方、およびギャップへの違和感の表明のされ方、(3)学術研究におけるグローバル・スタンダードをめぐる論争の分析。 5.以上の重点項目について個別グループの研究をもとに「ポスト・ナショナル」というキー概念の文節化と今後の研究への応用にあたっての実効性をおおよそ把握したところである。
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