研究課題/領域番号 |
13410136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
下宮 忠雄 学習院大学, 文学部, 教授 (90101592)
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研究分担者 |
轡田 收 学習院大学, 文学部, 教授 (90051325)
川口 洋 学習院大学, 文学部, 教授 (60080412)
宮下 茂 学習院大学, 文学部, 教授 (30080419)
大貫 敦子 学習院大学, 文学部, 教授 (70176957)
保阪 良子 学習院大学, 文学部, 教授 (20229165)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | ポスト・ナショナル / 脱・国民国家 / 文化的アイデンティティ / 多文化社会 / EU統合 / マルティ・ラテラリズム |
研究概要 |
「ポスト・ナショナル」という概念は、国民国家体制を基礎として成立してきた19世紀型の政治制度の終焉を意味すると同時に、脱・国民国家制度への展望を含意している。EU統合の動きが脱・国民国家のプロセスを進める一方で、ナショナル・アイデンティティ再構築の傾向も強める結果をもたらしている事態が観察される。しかしドイツでは、1990年代に見られたナショナル・アイデンティティへの固執は、むしろ薄くなってきていることが、本研究によって明らかになった。それはEU統合が、ドイツの連邦制に根付くローカル・アイデンティティと抵触しない形で進んだこと、またこの間における(特に9.11事件以降の)アメリカによるユニラテラリズムへの反発として、大陸ヨーロッパというアイデンティティが強くなったことに起因していると推測される。つまりEU統合のある程度の成功と、反アメリカ主義の醸成によって、ドイツにおける文化的アイデンティティの形成基盤が、「ドイツ」から「ヨーロッパ」へとシフトしたことが、文学・芸術・思想等の領域で確認された。 その一方で、ドイツにおける大学制度改革では、ますますアメリカ型の制度への移行が進んでおり、ドイツ文学・言語研究の制度に関しても、必ずしも「ドイツ」に限定されない「文化研究」への移行という形でのラジカルな変革が見られる。これは日本におけるゲルアニスティクへも大きな変化をもたらすものであり、この変化への対応が必要であることが明らかとなった。
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