研究分担者 |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 助教授 (00285503)
松田 謙次郎 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 助教授 (40263636)
日比谷 潤子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (70199016)
助川 泰彦 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70241560)
二階堂 整 福岡女学院大学, 人文学部, 助教授 (60221470)
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研究概要 |
本プロジェクトは言語接触により生じる中間的変異現象を,言語変異理論の立場から捉えることを目的とした。3年間の研究で以下のような知見を得た。(1)鹿児島方言の文末音調と語アクセントの関連を,音声アンケート等の調査にもとづき,話者の社会的属性を中心に考察した。大学生に対する聴取実験の結果から,鹿児島方言の語アクセントに変化が起きつつあると見られる結果を得た。(2)日系カナダ人2、3世の自然談話録音資料を収集し、既に収集を終えた資料とあわせて分析を行った。その結果、移住の時期、移住時の年齢、移住後の住環境(社会的ネットワーク)が言語変容に大きく関与することが明らかになった。(3)東京語「を」格ゼロマーク化研究の発展として言語変化と年齢差(age-grading)の関係を探り、拡大恒速度仮説(ECRH)を提唱した。(4)北海道方言の韻律に関して、自然談話を収集し、韻律強調に関する分析をおこなった。その結果日本語の自然談話に観察される否定辞「-ない」の韻律強調の変異性について、レジスターが主要な要因として働くことがあきらかになった。(5)福岡方言の談話資料とアンケートによる先行研究の結果をつき合わせた結果,方言使用の文脈的要因などを明らかにすることができた。(6)超級日本語学習者の日本語韻律習得のあり方を,複合語アクセント規則の習得を中心に日本語母語話者の習得する規則と外国人学習者の習得する規則の相違に着目して,言語変異論と中間言語理論の観点から分析した。(7)南大東島と小笠原諸島の実態調査を行い,二つの方言に見られる中間言語的要素を探った。前者は琉球諸方言と八丈方言、後者は小笠原英語と小笠原コイネ日本語との間の接触によって形成された言語体系を持っていること,琉球語を母語とする人または小笠原英語を母語とする人との間に生まれた日本語には中間言語的な側面が著しく現れていることが分かった。
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