研究課題/領域番号 |
13410143
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
田中 優子 法政大学, 第一教養部, 教授 (40139390)
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研究分担者 |
佐伯 順子 同志社大学, 文学部, 教授 (70215573)
芳賀 徹 京都造型芸術大学, 学長 (10012303)
平野 秀秋 法政大学, 社会学部, 教授 (40061105)
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キーワード | 遊廓 / 遊女 / 歌舞伎(傾き) / 近世社会 / 浮世絵 / 江戸文化 / 江戸時代の出版 / 芸者 |
研究概要 |
今年度の研究目的は、近世初期から1910年代(明治時代末期)に至るまでの、遊郭(幕府公認施設)および岡場所(非公認施設)について、文学、評判記類、随筆、政策に関わる資料、屏風絵、浮世絵、絵本類、絵画、音曲資料などを使って(1)遊郭はどのように成立したか--とくに歌舞伎との関係を軸に(2)遊郭の商業的仕組み(3)社会全体のシステムとの関係(4)その当時の経済システムにおける役割(5)その当時の文学、美術、音楽の創造との関係(6)遊女の芸とその杜会的・経済的役割(7)「芸者」の発生とその芸能および社会的役割--を研究することであった。その中で、文学、随筆、政策に関わる資料、浮世絵、絵本類、絵画の資料収集はほぼ終了し、とくに幕府による政策が、遊廓と歌舞伎の分離を生み出していった過程について、その流れをつかむことができた。また、膨大な浮世絵(枕絵を含む)の研究によって、遊廓と歌舞伎と浮世絵出版の関係や、その過程で起こった性意職や美意識の変化が、ほぼ明らかになってきた。研究実施計画にあった「社会全体のシステムとの関係」「その当時の経済システムにおける役割」「遊女の芸とその社会的・経済的役割」「芸者の発生とその芸能および社会的役割」は、そのおおまかな流れが見えてきた。しかし今年度の計画にあった「その当時の音楽の創造との関係」は、現在の音楽資料から当時の姿がつかみにくく、現在文献でわかっている範囲を出ていない。最終的にはこの部分に、新しい知見を加えることは難しいのではないか、という感触を得ている。しかしこの研究のもっとも大きな目的は、遊廓を核に江戸文化全体の連関の方法を探ることにある。したがって、研究をまとめる段階では、研究目的の中の「社会全体のシステムとの関係」「その当時の経済システムにおける役割」を柱にして、近世社会の諸事実の連関を論理的に整理し、それを描き出す「方法」を、提案、提示したい。
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