研究課題/領域番号 |
13410144
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西 成彦 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (40172621)
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研究分担者 |
崎山 政毅 立命館大学, 文学部, 助教授 (80252500)
ウェルズ 恵子 立命館大学, 文学部, 教授 (30206627)
西川 長夫 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (00066622)
細見 和之 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (90238759)
長 志珠絵 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30271399)
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キーワード | 多言語使用 / 植民地主義 / グローバル化 / 移民文学 / 難民の文学 |
研究概要 |
最終年度に当たる本年度は、各研究分担者が論文の執筆に専念する形を中心にしたが、4月1日には東欧研究者を海外から5名招いた研究会、5月8日にはフランスのシュルレアリズム研究者、ジャックリーヌ・シェヌー=ジャンドロン(パリ第七大学)、6月5日はカナダの比較文学者、レジーヌ・ロバン(モントリオール大学)、また6月25日にはフランスの社会学者で移民研究で知られるエルヴェ・ルブラ(フランス社会科学高等研究院)、7月10日には米国の日本文学研究者、ノーマ・フィールド(シカゴ大学)、さらに10月31日にはウズベキスタンの写真家、アン・ヴィクトル、11月14日は在日詩人の金時鐘を囲んだワークショップに参加する形を通じて、頻繁に交流を重ねた。こうした海外の研究者との交流の成果は、随時、『立命館大学言語文化研究』にその記録を残し、また残す準備を進めている。 また本年度は、本研究の全体を統括する研究代表者、西成彦が8月から9月にかけてはブラジル・アルゼンチン、2月にはポーランドへと渡航し、研究資料を収集するとともに、研究者との情報交換をおこなってきた。ブラジル・アルゼンチンは19世紀以降、ヨーロッパ各地からの移民が殺到したばかりでなく、20世紀には日本人移民の移入が民族構成に大きな変容を強いた地域である。ここでのこれら新移民の文学の研究は、文学と多言語使用の問題を考える上できわめて貴重なものであり、各国文学の枠組みの中ではとらえきれない数多くの特徴が、そこには見出される。長年、ハワイの日系人の口頭伝承を研究してきたウェルズ恵子の研究とも連絡する形で、本研究の中で「移民文学」をめぐる考察に対する比重が強まったのは、こういった海外調査の成果である。 これらも含め、3年間の研究成果は3月中にとりまとめ、「報告書」の作成に入る。 当初の編集方針とは多少異なるが、(1)多言語使用の歴史的背景、(2)植民地主義と多言語使用、(3)移民文学の言語、(4)グローバル化と現代文学の4部構成で、研究分担者の未発表論文と非商業雑誌掲載論文の再録を合わせる形で、これを本研究の最終成果としたい。なお、こうした研究成果はすでにさまざまな場に公表されているばかりでなく、西川長夫は台湾での国際シンポジウムで本研究の成果の一端を披露した。
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