IT革命の衝撃と法制度

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13420007
• 研究機関: 立教大学
• 研究代表者: 舟田 正之 立教大学, 法学部, 教授 (60062676)
• 研究分担者: 安西 文雄 立教大学, 法学部, 助教授 (90222356) ; 長谷部 恭男 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80126143) ; 江口 公典 上智大学, 法学部, 教授 (50135927) ; 橋本 博之 立教大学, 法学部, 教授 (80172873) ; 鈴木 秀美 広島大学, 法学部, 教授 (50247475)
• キーワード: 電気通信 / 放送 / 情報 / 融合 / 放送の公共性 / インターネット / 表現の自由 / 電話

研究概要

私たちの共同研究の第一の目的は、電気通信、放送、情報の「融合現象」が進行する中で、従来の放送制度のキーワードである「放送の公共性」という理念、及びそこから立てられてきた、電気通信や一般の情報伝達とは異なる、放送固有の法的仕組みをどう再構築するかであった。特に、インターネットの急速な展開の中で、表現の自由、放送免許制度などの様々な放送に対する規律のあり方につき、それぞれ具体的に検討した。その成果は、私たちの研究成果をまとめた舟田・長谷部恭男編『放送制度の現代的展開』(有斐閣、2001年11月)に収められている。
この点につき、2001年末から通信と放送の融合に対応して、放送もハードとソフトに分離して競争を促進すべきであるという議論が政府内部から出てきており、これをどう考えるかを研究中である。
第2の目的である、電気通信分野における「電話からインターネットへ」という顕著な変化の中で、新しい技術的展開を促進するための規制システムはどのようなものか、を明らかにすることにある。この点は、各メンバー(舟田や長谷部)の個別研究において成果が表されている。そこでは、依然としてわが国の電気通信産業における主たるプレイヤーであるNTT各社の市場支配力に対する新たな規制システムと、特に東西NTTの自由な事業展開を可能にする枠組のあり方を検討した。
その後、この分野においては、「フルIP化」と呼ばれるような変化が本格化しつつある中で、新たなビジネスモデルの模索が行われており、これに対応する制度を研究中である。

研究成果

• [文献書誌] 舟田 正之: "放送産業と経済法--補足的覚書"立教法学. 59号. 50 (2001)
• [文献書誌] 舟田 正之: "特殊法人等の情報公開制度"小早川光郎・宇賀克也編・塩野先生古希記念論文集『行政法の発展と変革』上巻. 36 (2001)
• [文献書誌] 安西 文雄: "ヘイト・スピーチ規制と表現の自由"立教法学. 59号. 1-44 (2001)
• [文献書誌] 安西 文雄: "表現の自由と合衆国最高裁判所のメディア特性論"舟田正之=長谷部恭男編『放送制度の現代的展開』. 141-157 (2001)
• [文献書誌] 江口 公典: "環境問題と競争秩序"法律時報. 73巻8号. 4-8 (2001)
• [文献書誌] 江口 公典: "独禁法の基礎概念"日本経済法学会編・『経済法講座』2巻. (予定). (2002)
• [文献書誌] 江口 公典: "不公正な競争行為に対する民事的救済制度"日本弁護士連合会編・『現代法律実務の諸問題』(平成13年版). (予定). (2002)
• [文献書誌] Eguchi, Kiminori(江口公典): "Japanisches Kartellrecht und seine neueste Entwicklung (1)"Zeitschrift fur Japanisches Recht. Nr.13(予定). (2002)
• [文献書誌] 長谷部 恭男: "通信制度とグローバライゼーション"法律時報. 74巻1号. 134-138 (2002)
• [文献書誌] 鈴木 秀美: "通信と放送の融合と制度改革-ドイツ放送法制の動向"放送学研究. 50号. 31-53 (2001)
• [文献書誌] 鈴木 秀美: "スポーツ独占放送権と放送法-ドイツの短時間ニュース報道権とイベント・リスト規制"『EU法の現状と発展』. 201-227 (2001)
• [文献書誌] 鈴木 秀美: "放送市場における公共放送の役割-ドイツの議論を手がかりに"舟田正之=長谷部恭男編『放送制度の現代的展開』. 215-240 (2001)
• [文献書誌] 舟田, 長谷部共編: "放送制度の現代的展開"有斐閣. 284 (2001)