研究課題/領域番号 |
13420014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大渕 哲也 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30322035)
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研究分担者 |
平嶋 竜太 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 助教授 (70302792)
井上 由里子 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (60232568)
斎藤 誠 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00186959)
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キーワード | ネットワーク上の情報技術 / 情報技術(IT) / コンピュータ・プログラム / 知的財産権保護 / 知的財産権法 / 情報保護法 / 知的財産権訴訟制度の充実 |
研究概要 |
本年度は、研究実施計画で示した基本方針に沿って、ネットワーク環境下における情報技術(IT)の法的保護に関して、知的財産法を情報保護法として再構築するという新たな視点からのアプローチを基本に据えた上で、情報技術の特質を踏まえつつ、情報技術を適切に保護するための知的財産制度の在り方等について鋭意調査研究を行った。特に、昨年度においては、世界で初めて特許法の明文の規定で保護対象としてプログラム自体を加えて、その保護を図るという画期的な特許法改正が我が国において成立したため、そのインパクトが実際本年度においては、問題となることとなったので、その点に関する研究を鋭意推進した。また、IT技術は金融・社会等のあらゆる人間活動に及ぶことから知的財産権の対象・内容については、公共性の要請、独占と競争、経済・流通社会等との調和が必要である。そこで、上記平成14年特許法改正の評価・分析等のほか、これらとの調和を十分考慮し、将来を見据えた情報技術の発展推移・保護の在り方について総合的な調査研究を行った。この点の研究は、文字通り、知的財産法全体に及び得る広がりを有するものであり、このような総合的研究が不可欠の前提となる。以上のような総合的な研究成果の本年度発表分としては、関係各分野にも幅広く及ぶ後掲の平嶋の各論文がある。ちなみに、このような一般的な研究とは別に、これらの研究成果の公開の面も有する、法学部・大学院等での教育についても、鋭意努力をなした。具体的には、平成16年度においては、大渕が東京大学で始めて、コンピュータ法・サイバー法の総合的な演習(大学院・学部)を開講し、更には、平成17年度においては、法科大学院(ロースクール)においても同様の演習を開講する。これらを可能とするための研究成果の蓄積(緻密な学問的蓄積が高度に要求される法学分野において、新たな学問分野の確立に足る研究成果の蓄積、特に、演習科目が成立するほどの蓄積が容易なものではないことは改めて指摘するまでもなかろう)について、本科研費が大きな役割を果たした。 また、情報技術(IT)は、先端技術の中でもとりわけ、模倣に対して極めて脆弱であり、その点で、適正迅速な権利のエンフォースメント・メカニズムの裏打ちなくしては、経済的社会的に成立し得ないという性格が特に顕著である。そのため、上記のような実体面の充実のほか、迅速な法的保護のための手続・機構の整備、具体的には、技術に係わる審判、訴訟等についての実効性・専門性・迅速性等の実現が不可欠である。そこで、これらの手続法的側面からも考察を加えて、総合的な研究を図ることとした。この関係の研究成果についての本年度発表分としては、後掲の大渕・平嶋ほかの図書(総合的な比較法研究)や大渕の論文がある。
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