研究課題/領域番号 |
13420015
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
右近 健男 岡山大学, 法学部, 教授 (40078978)
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研究分担者 |
木村 仁 岡山大学, 法学部, 助教授 (40298980)
藤田 寿夫 岡山大学, 法学部, 教授 (40190045)
西原 諄 岡山大学, 法学部, 教授 (20045157)
吉岡 伸一 岡山大学, 法学部, 助教授 (50362950)
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キーワード | 高齢者契約 / 持続的代理権 / 財産管理人制度 / 信託 / 代理権濫用 / 後見 / 保佐 / 補助 |
研究概要 |
高齢者契約をめぐる諸問題についての基礎的理論研究のため、内外文献の収集・分析をしたほか、イギリス・わが国での資料収集・実態調査をした。イギリスでは、ロンドン大学を中心にエジンバラ大学・オックスフォード大学の教授や法律事務所から、持続的代理権や財産管理人制度に対する評価と問題点を調査した。財産管理人制度が費用の点で問題を有し、持続的代理権が広く利用されていること、信託とあわせて利用されていることは学ぶべき点があるが、問題点としては、持続的代理権が財産管理のみを対象とするため医療などの決定を代行できない点、代理権濫用があることなどであり、法改正が検討されている。 わが国の調査では、岡山の消費生活センターでの高齢者契約の相談事例を調査したほか、岡山家庭裁判所での調査では、平成15年度の後見・保佐開始の審判数は、前年の181件・91件よりさらに増加し、補助も33件ほど利用されるようになり,非常に忙しく、また市町村長申立では、4親等内の親族がいるかの確認に数ヶ月かかることがあるとのことであった。 以上の研究と調査を総合して検討するため、弁護士・司法書士・福祉施設関係者を含む共同研究会を2ヶ月に1回、計5回開催した。高齢者契約について岡山の消費生活センターにおける相談事例をもとに検討を加え、苦しくても信販会社に支払い続けている真面目な高齢者の場合などに消費者被害の発覚が遅れ、救済も困難となるといった問題点、介護契約書や介護トラブル事例の分析からは、介護事業者のサービス内容表示義務やその第三者評価が重要であること、成年後見や地域福祉権利擁護事業による支援制度や、苦情処理制度の整備が重要であることなどが明らかとなった。
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