本年度は、政策評価制度の定着化に向けた課題、及び内閣府の設置が他省庁の政策過程へと及ぼす影響について、研究を進めた。 内閣府に設置されたいくつかの会議は、その性格を異にするため、その決定過程やまた各省への影響も異なるが、従来とは明らかに異なる決定のモードを作り上げていることが、インタヴューを通じて明らかになった。それは、経済財政諮問会議に見られるように、首相が主催し、また、民間議員を含むということによって、従来とは、全く異なる政策決定過程を作り出している場合もあれば、科学技術総合会議のように、全体の理念を打ち出すとともに、資源配分へのコミットを強めるという場合もある。 政策評価制度は、評価体系を分権的に構築することによって、各省庁に適合的な評価を行うとともに、その評価の質を向上させるための革新を促すことが期待されている。しかし、制度の外形的な整備は、現段階でも整っているものの、さらなる実体化が必要である。この制度の定着と発展のためには、(1)各省の自己評価のみならず、他の主体が関与するような評価の多重性の確保、(2)評価を具体的な意思決定へとリンクし、適切な情報の利用を促すことを可能にするような各府省におけるマネジメント・サイクルの確立、(3)公表を通じた評価結果の再検証性の確保、(4)評価情報の正確性と評価システムの機能性を担保するようなチェック機能の強化、という課題を解決していかなければならない。
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