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2002 年度 実績報告書

経済制度の補完性と経済調整の安定性との関連の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13430002
研究機関京都大学

研究代表者

宇仁 宏幸  京都大学, 経済学研究科, 教授 (90268243)

研究分担者 大田 一廣  阪南大学, 経済学部, 教授 (70185263)
若森 章孝  関西大学, 経済学部, 教授 (60067725)
八木 紀一郎  京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30116511)
坂口 明義  東北学院大学, 経済学部, 助教授 (90202085)
清水 耕一  岡山大学, 経済学部, 教授 (00235649)
キーワード制度補完性 / 経済安定性 / 経済制度
研究概要

4回開催した研究会において、貨幣・金融制度、国家・財政制度、企業・労使関係制度に関する各研究分担者による研究の中間報告とそれに関する討論を行った。このような研究会と各自が行った分担研究を通じて次のようないくつかの進展がみられた。
われわれの研究によると、日本、ドイツ、米国という3つの資本主義には次のようなちがいがある。米国では労働市場と株式市場が大きな役割を果たしているのに対し、日本とドイツでは労働と資本に関する調整については、市場よりもコーディネーションが大きな役割を果たしている。つまり、雇用や賃金の調整や資金の調達は、米国では主として市場を通じて行われており、日本とドイツでは、企業単位や産業単位での協議を通じて行われている。その結果、米国では労働力や資本の移動は迅速であり、雇用期間、失業期間や株式所有期間はいずれも短期的である。逆に、日本とドイツでは、雇用期間、失業期間、株式所有期間や銀行からの資金借入期間はいずれも長期的である。経営者、労働者、銀行が長期的で密接な関係を通じて、多くの情報を共有しているからこそ、協議による調整が可能になっている。そして長期的で密接な関係の存続を背後で支えているのは技能形成制度、雇用制度などの諸制度である。
技能形成制度、雇用制度、賃金制度、貨幣金融制度、福祉制度の間には強い結びつきがあり、これらの制度は相互に補完しあって首尾一貫性のあるひとつの経済システムの骨格をかたちづくっている。日本では1980年代以降、金融制度が大きく変化したのに、技能形成制度や雇用制度の変化は遅い。その結果、一部で補完性が損なわれたことが、日本の90年代以降における長期停滞の一因であることが明らかになった。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] 宇仁宏幸: "日本経済の低成長の原因"経済理論学会年報. 第39集. 167-182 (2002)

  • [文献書誌] 八木紀一郎: "社会経済システムの変動図式とガバナンス"社会経済システム. 第23号. 11-21 (2002)

  • [文献書誌] 八木紀一郎: "社会経済体制の進化と公共性"佐々木毅・金泰昌編『公共哲学10』東京大学出版会. 第10巻. 195-220 (2002)

  • [文献書誌] 植村博泰: "制度分析と分配理論の再構築"佐藤良一編『市場経済の神話とその変革』法政大学出版局. 349-375 (2003)

  • [文献書誌] 清水和巳: "合理的経済人仮説の終焉"佐藤良一編『市場経済の神話とその変革』法政大学出版局. 3-34 (2003)

  • [文献書誌] 磯谷明徳: "雇用システムの制度的多様性"佐藤良一編『市場経済の神話とその変革』法政大学出版局. 267-296 (2003)

  • [文献書誌] 磯谷明徳: "雇用の流動化と「雇用戦略」"九州大学大学院経済学研究院『政策分析2002』. 93-122 (2002)

  • [文献書誌] 池田毅: "マクロ経済政策と所得再分配"九州大学大学院経済学研究院『政策分析2002』. 275-288 (2002)

  • [文献書誌] 中原隆幸: "レギュラシオンアプローチにおける国家論の射程"四天王寺国際仏教大学紀要人文社会学部. 第35号. 55-80 (2003)

  • [文献書誌] 八木紀一郎: "社会経済体制の移行と進化"シュプリンガー・フェアラーク東京. 189 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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