研究課題/領域番号 |
13430002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇仁 宏幸 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90268243)
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研究分担者 |
大田 一廣 阪南大学, 経済学部, 教授 (70185263)
若森 章孝 関西大学, 経済学部, 教授 (60067725)
八木 紀一郎 京都大学, 経済学研究科, 教授 (30116511)
磯谷 明徳 九州大学, 経済学部, 助教授 (60168284)
清水 耕一 岡山大学, 経済学部, 教授 (00235649)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | マクロ経済の安定性 / 制度の補完性 / 雇用制度 / 賃金制度 / 金融制度 / 通貨制度 |
研究概要 |
第1に、雇用・賃金制度と金融制度のいかなる組み合わせが、マクロ経済の安定性につながるか、あるいは不安定性につながるかが理論的、実証的に明らかにされた。その概要は次の通りである。マクロ経済の変動の多くが投資の大きな変動を経由することはよく知られている。投資資金は、利潤を主な原資とする内部資金と、資本市場あるいは銀行から調達される外部資金とがある。雇用・賃金制度は、産出高に対する賃金コストの弾力性を左右する。その結果、雇用・賃金制度は利潤の弾力性、さらに内部資金量の弾力性にも影響する。一方、金融制度は、外部資金の弾力性に影響する。こうして、雇用・賃金制度と金融制度とは、ともに投資への影響を介して、マクロ経済の動態と関連をもつ。 第2に、制度的補完性を重視しながら、公共的秩序と通貨制度との関連が理論的、実証的に分析された。貨幣は公共財としての側面と私的財の側面を兼ね備えた存在である。この二元性を克服して、貨幣に対する人々の信認を築くことは通貨制度を法制化するだけでは成し遂げられない。社会保障制度や財政制度など他の諸制度と通貨制度との補完性は、通貨制度の社会的安定性を保証し、貨幣と公共的秩序とを媒介する役割を果たす。 第3に、諸制度間の補完性が損なわれ、マクロ経済が不安定化したとき、経済諸主体がどのように対応するかについて、企業および国家というレベルに視点をすえて、分析した。個別企業による変革の試みに対して、既存の制度的環境は、制約つまりブレーキとして作用する。個別企業がこの制約を突破して、変革を成功させるための諸条件を明らかにした。また、他の諸制度との補完性を重視しながら、新たな環境条件のもとで、経済政策および社会保障制度のどのような再編が望ましいのかについて検討した。
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