研究課題/領域番号 |
13430007
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高田 一夫 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (00137861)
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研究分担者 |
林 大樹 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (70180974)
玉井 金五 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00137176)
中川 清 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (50115052)
堀 千鶴子 城西国際大学, 経営情報学部, 専任講師 (40316865)
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キーワード | 介護 / 社会保険 / 福祉 / 住宅介護 / 施設介護 / 所得格差 / 家族 / 家事 |
研究概要 |
本年度は介護事業者の聞き取り調査(山形市、国立市など)を主体とした調査を行ったほか、理論的な検討も行った。その結果、以下のような仮説をたて、それを確認できた。 (1)介護保険は、在宅介護の支援をねらって制定されたものであるが、利用実績データから見ると、支払額の約8割が施設関連サービスに支出されている。実際、山形市と国立市において実施した介護保険事業者のヒアリング調査でも、訪問介護事業者は利用実績があまり上がらず、施設の方が安定した経営を行っていることが明らかになった。 (2)介護サービスは自立を目標とした生活支援活動である。そのため、介護サービスの範囲に関して問題となることがある。利用者の受けたいサービスと介護保険の規定とのギャップがあり、問題を起こすのである。これは介護保険が、これまでの社会保険と異なり、従来は家事の一部だった日常生活そのものを援助の対象としているからである。要介護者の生活の広がりと介護保険に組み込まれた乱用防止策としてのサービス範囲の制限とが衝突している。これも介護事業者調査で確認できた。 (3)社会保険はやや逆進的な面があり、低所得層に問題が起きる。これは社会保険と扶助の接合という古くからの問題である。今回の調査では、そうしたケースの情報を入手することが難しかった。一般的にも、介護サービスの受給者である要介護者が介護保険をどのように受け止めているかは重要な問題である。高齢者調査は、第3年度の前半にアンケート調査によって実施する予定である。
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