サード・エコノミーの理論と実証-三層秩次序構築の試みと成果の批判的検証-

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13430011
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 福田 亘 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00030669)
• 研究分担者: 足立 正樹 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90068263) ; 津田 直則 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (00040791) ; 丸谷 冷史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60030673) ; 永合 位行 神戸大学, 経済学研究科, 助教授 (40218037) ; 金川 幸司 福岡工業大学, 社会環境学部, 助教授 (00341470)
• キーワード: サードエコノミー / 非営利組織 / 協同組合 / 自治体 / パートナーシップ / 福祉サービス / 高齢者介護 / 社会保障

研究概要

われわれは、社会経済システムを、公的秩序、私的秩序に新たに第3の秩序を加えた3層秩序からなるものとして捉え、その第3の秩序を「サード・エコノミー」と呼ぶ。それは、市場経済・公共経済に対して「社会経済(social economy)」、あるいは私・公に対して「共」として、共益の追求と連帯にもとづく経済秩序として特徴づけられる。本研究はサード・エコノミーの試みと成果を検証し、社会経済システム全体においてそれを位置づけ、またその役割を分析することを課題としている。
平成15年度は、本研究の最終年度であり、本年度の計画に基づいて、協同組合、自治体とNPOの関係、地域社会とNPOの関係などの実地調査を昨年度に引き続き実施するとともに、各研究分担者のこれまでの研究成果を整理し、それらを総合的に体系化する作業を進めた。本年度の研究成果は、下記の通りである。
・福祉国家から福祉社会への転換とともに、サード・エコノミーの役割と重要性が今度いっそう高まっていく可能性があることが明らかにされた。
・とりわけ、地域社会との関係が重要であり、福祉や介護の領域はいうまでもなく、レクリエーション関連の領域でも、サード・エコノミーが今後重要になることが明らかにされた。
・サード・エコノミーの一つの柱である協同組合について、実証研究がなされるとともに、最近の新たな展開について明らかにされた。
・イギリスおよびドイツにおけるサード・エコノミーの状況が明らかにされ、とりわけ国家あるいは自治体とNPOの関係について両国の特徴が明らかにされた。

研究成果

• [文献書誌] 足立 正樹: "これからの高齢者介護保障"21世紀の人と社会. 34-35 (2003)
• [文献書誌] 津田 直則: "協同組合の新しい動きと非営利組織の連帯"NPA通信. 8. 1-3 (2003)
• [文献書誌] 津田 直則: "熊野新道構想と南大阪の再生"21世紀WAKAYAMA. 41. 7-10 (2003)
• [文献書誌] 津田 直則: "Comprehensive Evaluation of Co-op Kobe : Measurement, Evaluation and Policy Making"協同組合研究. 22・4. 54-67 (2003)
• [文献書誌] 津田 直則: "コープこうべ総合評価-協同組合価値の計測と参加の仕組み-"社会経済システム. 24. 17-30 (2003)
• [文献書誌] 津田 直則: "非営利価値と大学の役割"桃山学院大学経済経営論集. 45・4. (2004)
• [文献書誌] 金川 幸司: "NPOによる総合型スポーツクラブの設立・運営に関する研究"福岡工業大学研究論集. 36・1. 57-69 (2003)
• [文献書誌] 金川 幸司: "ローカルガバナンスの視点から見た自治体環境行政の評価に関する研究"福岡工業大学情報科学研究所報. 14. 75-84 (2003)
• [文献書誌] 金川 幸司: "自治体とNPOとのパートナーシップについて-イギリスのコンパクトモデルを中心に-"社会経済システム. 24. 31-38 (2004)
• [文献書誌] 永合 位行: "ドイツの第三セクターに関する一考察"神戸大学経済学研究年報. 49. 41-61 (2003)
• [文献書誌] 永合 位行: "倫理経済学の新たな展開-P.コスロフスキーの所説を中心にして-"国民経済雑誌. 187・6. 83-94 (2003)
• [文献書誌] 鈴木 純: "高齢者対象市場における情報の諸問題と組織"ヒューマンケア研究機構年報. 9. (2004)
• [文献書誌] 足立 正樹: "各国の社会保障"法律文化社. 234 (2003)