研究概要 |
本年度も研究目標に沿って,具体的な成果が達成できるように努力した。実際に完成し出版された論文以外にも,多くの論文および著作が進行中である。研究者は相互に連絡を取りながら研究を進めているが,各自の分担部分での成果の概要は次の通りである。 中込は,研究発表欄に記載の2つの論文を完成させ,さらに未発表であるが1冊の著作(単著)を書き上げた。(『「自由」を超えて:内発性の経済学』)これらの研究はともにNPO研究の基礎となる認識論的哲学からの考察であり,最終年度には他の研究者の成果との理論的関連性をさらに突き詰めて深く考えていく予定である。 芹田はNPOのミクロ経済学的分析を担当しており,具体的にはNPOの資産運用の問題を取り上げて考察を加えている。「日本の公益法人に対する資産運用規制の影響の実証分析」と「公益法人に対する最適な資産運用規則」(ともに仮題)という論文の作成が進行中である。 宮原はNPOを主にマクロ経済学的視点から考えていくことを主眼としている。「NPOとGDP : NPOの生産力効果」と「政府の失敗とNPO・NGO」(ともに仮題)という論文の執筆が進行中である。 内野は,法学的視点をも取り入れて考察を行っている。今年度は研究発表欄に記載の論文を1つ完成させたが,さらに「非営利法人の税制上の優遇措置の当否に関して」,「法人形態の効率性に関する取引費用アプローチ」,「日本の法人制度改革」(ともに仮題)の分析もめざしている。 こうした理論的・実証的問題が,NPOの認識論的特性といかなる内在的関連性をもって考察できるのか。研究期間はあと1年あるので,相互の議論を通じて一層深い知見が得られるように努力していきたい。
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