研究課題/領域番号 |
13430019
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
鵜飼 康東 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70098101)
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研究分担者 |
伊藤 元重 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10128564)
貞廣 彰 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (50333133)
須田 一幸 早稲田大学, 大学院・ファイナンス研究科, 教授 (00171273)
武田 浩一 法政大学, 経済学部, 助教授 (40328919)
渡邊 真治 大阪府立大学, 総合科学部, 専任講師 (80254449)
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キーワード | IT投資 / IT生産性 / ミクロ・データ / 銀行業 / 公共サービス / 郵便事業 / インターネット・サービス・プロバイダ |
研究概要 |
平成16年度は、IT関連産業のなかで、成熟産業と言うべき銀行業と幼稚産業と言うべきインターネット・サービス・プロバイダ(以下、ISPと略称する)に研究資源を集中させ、追加的にエージェント・シミュレーションを実施した。 第1に、東京証券取引所および大阪証券取引所に株式を上場している銀行を対象に、有価証券報告書のデータを加工して、被説明変数に当該銀行総市場価値、説明変数に電算機ハードウェア、ソフトウェア、貸出を用いて、市場価値に及ぼす資産効果をパネルデータ分析により推計した。その結果、従業員1人当たりのソフトウエア資産の市場価値は30に達した。これは、世界的に見て非常に高い数値である。 第2に、ISPについて、面接調査とアンケート調査を実施した。地域系ISPは地域の高度情報化や地域コミュニティの育成に重要な貢献をしてきた。しかし、近年では、全国系ISPがサービス地域を急速に拡大するなか、地方都市の地域系ISPが存廃の危機に直面している。本研究では、アンケート調査で収集したデータをもとにDEA (Data Envelopment Analysis:包絡分析法)を用いてISPの技術的効率性を計測したのち、順位和検定(Mann-WhitneyのU検定)により全国系+三大都市圏のISPと地方都市の地域系ISPの効率値水準の差異を検定した。分析の結果、両グループの効率値水準には5%の有意差が確認され、とりわけIT資産等の投入要素を効率的に使用することが地方都市の地域系ISPにおける効率性向上の条件であることが明らかとなった。 最後に、IT関連企業1000をエージェントとして、IT投資行動に関するグリッドシミュレーションを行なった。その結果、他社に追随してIT投資を行なうエージェントの分布よりも、独立して投資を行なうエージェントの分布が、マクロの投資に対する決定的要素であることが明らかになった。
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