研究課題/領域番号 |
13430022
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
速水 融 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (40051164)
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研究分担者 |
鬼頭 宏 上智大学, 経済学部, 教授 (50138377)
浜野 潔 関西大学, 経済学部, 教授 (40288585)
友部 謙一 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00227646)
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (20225296)
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キーワード | 江戸時代 / 都市人口 / 地方都市 / 都市人口分布 |
研究概要 |
(1)マクロ統計資料を用いた研究として、地方史類に出てくる江戸時代都市人口の数量的記述を取り出し、1650年、1700年、1750年、1800年、1850年と50年ごとにその推移をみた。その結果、100年以上について人口趨勢を掴み得る約200の都市を検出した。ただし、その人口数については、原資料によって性格・内容が異なり、同質的な資料としては扱い得ない。たとえば、ある都市では年少者が省かれたり、他の都市では、出稼ぎによる一時的滞留者が含まれていない。このことから、江戸時代の都市人口記録を用いることは危険であると考えた。そこでこれに代わるものとして、明治初期、まだ本格的な工業化、都市化が始まる前の都市人口調査『都市名邑戸口表』(明治17年末調査)を用いて全国および地域別都市人口の分布を考察した(速水:2005)。その結果、日本の都市人口の分布は、経済的発展に即応した「正常型」分布をしていることを見出した。 (2)ミクロ史料を用いた研究としては、上野国桐生新町の史料整理を終り、その人工移動について研究した(速水)。成果は年度末に提出する「報告書」に掲載する。この研究により、とくに織物都市桐生に、織工として流入した労働者(当時は「奉公人」と呼ばれている)は、中仙道・北国街道沿いので、京都に近い方角の村々出身の者が圧倒的多数を占めていること、最大の奉公人を抱える織元は、30人もの男女を抱えていることが分った。また、現在東京府下、多摩地方33か村の明治3年戸籍を用いた研究(黒須:2005)では、「同居児法」という不完全な人口統計資料に適用し、種々の人口学的指標を求める手法を用いて幕末-明治初期の江戸近郊農村の人口のあり方について検討した。 このほか、播磨国高砂町、摂津国平野郷町について、資料整理・分析を行い、近く刊行を予定している「近世地方都市人口の研究」(仮題)に収録する予定である。また、研究協力者(麗澤大学講師)高橋美由紀による『地域のなかの地方都市』は、奥州郡山を取り扱ったものだが、近々出版される(ミネルヴァ書房)。
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