研究課題
組織的知識創造理論の観点から、ソフトウェア開発プロジェクトにおいてリーダーシップがその成功の鍵であるという仮説をたて、(株)富士通インフォソフトテクノロジ社で実施された3つのソフトウェア開発プロジェクトのプロジェクトリーダーおよびサブリーダーへのアンケート調査およびインタビューを実施した。これらから組織的知識創造プロセスにおけるSECIモデルを基盤とし、リファレンスモデルを導出することは、平成14年度の課題である。一方、システム方法論のソフトウェア開発における適用を調査した。この調査結果を踏まえて、知識創造プロセスを実践する綜合力による問題解決プロセスと、システム方法論による問題解決プロセスを対比させ、考察した。その中で今年度は特に知識ビジョンに着目した検討を実施した。これは、財務会計モデルを発展させたバランスト・スコアカード法を基盤としている。すなわち、ソフトウェア開発のアウトプットであるソフトウェアシステムを利用する顧客が持つ知識ビジョンを、その顧客の財務の視点、顧客(すなわちソフトウェアシステムを利用する顧客の顧客)の視点、内部ビジネスプロセスの視点、学習と成長の視点という4つの視点およびそれらの各要素間の因果関係まで含めて吟味し、ソフトウェアシステムの要件を抽出する手法を開発した。また、ソフトウェアシステム運用時に、その運用形態の差異が経営目標の達成にどのように影響するのかを調査することは、ソフトウェア開発を成功させるために把握しておくべき重要な要因である。これらについても調査・分析した。メタファーに関する調査においては、集団理論などでメタファーを論じた先行研究に着目し、考察を開始した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)