研究課題/領域番号 |
13440005
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松本 眞 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70231602)
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研究分担者 |
都築 暢夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10253048)
望月 新一 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10243106)
玉川 安騎男 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00243105)
森田 茂之 東京大学, 数理科学研究科, 教授 (70011674)
木村 俊一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10284150)
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キーワード | ガロア群 / 数論的基本群 / モジュライ空間 / 圏論的数論幾何 |
研究概要 |
研究代表者は、デューク大学数学科リチャード・ヘイン教授と共同研究を継続し、モジュライ空間の数論的基本群の、曲線の基本群への作用について次のような結果を得た。ガロア群の曲線Cのユニポーテント基本群への作用の像が最大(=モジュライ空間の基本群の作用の像と一致)する必要十分条件は、曲線のヤコビアン上の代数的サイクルC-C^-のガロアコホモロジー類が消滅しないことである。この結果は現在論文投稿中である。研究代表者は研究分担者玉川、望月と数理解析研究所においてセミナーを行い研究交流を続けている。 玉川は標数正の曲線の基本群を主に研究している。標数正の場合には標数零の場合と異なり、数論的基本群ではなくより情報の少ない幾何的基本群からですら曲線が再構成できる可能性がある玉川は種数0の場合にこの問題を解決した。また、種数が正の場合には幾何的基本群を与えたときそれを基本群とする代数曲線が有限個であることを示し論文にまとめた。この論文はJournal of Algebraic Geometryに受理されている。また、曲線がアファインの場合その普遍被覆は曲線に依存しないことを示し、現在論文執筆中である。望月は、エタール基本群から元の対象を再構成するという遠アーベル幾何の発想を推し進め,エタール被覆のカテゴリーなど、カテゴリーにより代数的対象を再構成し、さらにはカテゴリー論を用いてスキーム論を含む幾何学を再構築する研究を進めている。この圏論的数論幾何の手法を用いて、従来不可能とされていた整数環のスキームの変形理論やABC予想の解決に向けて多くのプレプリントを執筆している。うち一つはPublication of RIMSに掲載予定となっている。これらは、共同セミナーによる研究交流の成果である。 都築はリジッドコホモロジーの降下理論を展開し、それらの有限次元性や重みスペクトル系列の退化を証明した。これらの結果はRend.Sem.Mat.Univ.Padovaに掲載されている。木村はChow Motiveの圏における対称積や外積を用いることで、モチーフの「有限次元性」の概念を定式化し証明した。この結果は現在投稿中である。 アリゾナ大助教授キム・ミンヒョン氏を京都大学と広島大学に2ヶ月半招き、圏論的数論幾何やクリスタリン基本群についての研究討論をし研究を進展させた。
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