研究分担者 |
茂手木 公彦 日本大学, 文理学部, 教授 (40219978)
福田 拓生 日本大学, 文理学部, 教授 (00009599)
泊 昌孝 日本大学, 文理学部, 教授 (60183878)
原 伸生 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90298167)
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 教授 (90205188)
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研究概要 |
本年度は特に標数pの手法を用いたF-pure thresholdの研究,multiplier idealの研究とその応用,Hilbert-Kunz重複度,射影多様体の全座標環などで成果が得られた. F-pure thresholdは代数幾何学で定義されるlc(log canonical)thresholdの概念を標数pの手法を用いて代数化したものであり,これによってlc thresholdの計算の簡易化,環論とのより深い関わりを研究することが可能になった.またF-pure thresholdを使って特異点の分類の精密化が可能になっている.更にイデアルの列に対するもの,重複度との関係などの可換環論的応用が期待される. Hilbert-Kunz重複度は標数pの手法を用いて定義される,今までの重複度の概念の精密化と言える.この重複度が1の環は渡辺・吉田によって正則であることがわかっているが,今回はこの値が1より大きい最小値を決定し,その値をとる環は通常2重点に限ることを4次元以下で示すことに成功した. 全座標環の概念は代数群の不変式環の有限性と関係して最近とみに注目されているが,このような環が常に素元分解環であることが示された. 泊は超曲面のquasi-homogeneous特異点の重複度とMilnor数との関係を与えた.また2次元特異点の被約位数と代数的位数の逆線形不等式について、特異点解消過程よりの評価を得た。 蔵野は可換環のChow群に数値同値の概念を定義し,この理論に大きな影響を与えた. 原はmultiplier idealの概念を標数pの手法を用いて定義し,理論の代数化,簡易化に大きく貢献した. 茂手木は双曲結び目の非双曲Dehn手術のうちSeifert fiber spaceを生み出すDehn手術の研究を行った.今後はこのようなDehn手術の幾何的に自然な説明を与えるのが課題である.
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