研究課題/領域番号 |
13440024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山口 孝男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
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研究分担者 |
伊藤 光弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40015912)
川村 一宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40204771)
石渡 聡 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (70375393)
大津 幸男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (80233170)
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90235507)
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キーワード | リーマン多様体 / 崩壊 / 端点 / アレクサンドロフ空間 |
研究概要 |
今年度得られた具体的な研究成果は次の通りである。 1.8月にドイツのミュンスター大学で開催された研究集会"Collapsing and metric geometry"に代表者が参加して研究発表した。その後、これを契機として、Petrunin氏やV.Kapovichi氏と研究討論を行い、代表者がこれまで考察していた端点数が最大の非負曲率アレクサンドロフ空間の分類に関する議論に誤りがあることが判明した。議論は次元に関する帰納法によるが、第一段階の曲面の場合の分類が予期していたものよりずっと複雑であることが判明した。曲面の場合には分類することが出来たが、この場合でも、その等長類には連続濃度のモジュライが現れる。現在この結果を3次元に拡張すべく研究中であるが、最終的な分類は当初予想していたものよりずっと豊富な空間を含むことが判明した。 2.深谷賢治氏(京都大)との共同研究により、リッチ曲率がほとんど非負である多様体の基本群のベキ零性に関する結果を、以前の断面曲率がほとんど非負の多様体に関する共同研究の証明とCheeger-Coldingのリッチ曲率が下に有界な多様体の収束理論を融合させることにより得ることが出来た。現在論文準備中である。極限空間の等長変換群がリー群になるかどうか、基本群のpolyciclicityの長さが大きいときの多様体の分類など、解明すべき問題がいくつか見えてきた。最近、Petrunin氏達により、ほとんど非負の断面曲率をもつ多様体の場合に、その基本群のべき零部分群の指数の一様評価が示されたようであるが、この結果がほとんど非負のリッチ曲率をもつ多様体に対して成立するかどうかを決定することも重要な課題であろう。 3.曲率が上に有界な特異曲面の局所的な幾何構造についての研究を行ない、各点の近傍は有限個のリプシッツ円盤の張り合わせとなることが明らかになった。当初予期していたこれらの円盤の凸性については、現在その可能性も含めて研究中である(永野幸一、塩谷隆、B.Kleiner3氏との共同研究)。
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