研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
日野 正訓 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (40303888)
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (90234509)
樋口 雄介 昭和大学, 教養部, 講師 (20286842)
白井 朋之 金沢大学, 理学部, 助教授 (70302932)
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研究概要 |
大偏差原理は、大数の法則、中心極限定理に次ぐ確率論の基本法則であり、対象に応じてさまざまな様相を見せる。本研究では、2,3の確率過程を対象としてその構造を明らかにすることから始めて、それぞれの場合の大偏差原理の諸相を明らかにすることを目的とした。最も力点を置いた確率過程のクラスは、フェルミオン過程、ボゾン過程およびその一般化であり、高橋と白井はフレドホルム行列式に付随する(確率点場に関する研究を遂行し、ボゾン過程、フェルミオン過程に対応するボゾン統計、フェルミ統計を一般化したα統計を提唱、パラメータがα=-1/n(n=1,2,...)の場合およびα=2/m(m=1,2,...)の場合に確率点場が存在することを確率論的な構成方法を発見することにより証明した。同時にこれ以外の場合についてαパーマネントの非負性を予想し、SpohnやJohannsonの問題提起に応えて、1次元の拡散過程もしくは生成消滅過程に推移作用素の場合には非対称でもαパーマネントの非負性予想が成り立ち、したがって確率点場が存在すること等を発見した。以上の基礎結果をもとに、これらの確率点場に関する大偏差原理および基本的極限定理、エントロピーの評価やベルヌーイ性などを研究した。これらの成果はAnn.Probability、J.Functional AnalysisおよびASPM Series39巻に論文として公表した。さらに、Glauber dynamicsに関しても白井は一定の成果を挙げた。この他の分担者もそれぞれの研究を遂行し、樋口と白井はグラフ上の酔歩とシュレディンガー作用素、熊谷はフラクタル上の拡散過程、重川と日野はウィーナー空間、原は2次ウィーナー汎関数を研究し、成果を挙げた。
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