研究分担者 |
内田 雅之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70280526)
百武 弘登 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70181120)
柳川 堯 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (80029488)
前園 宜彦 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30173701)
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研究概要 |
複雑な非線形構造を内包する高次元データからの情報抽出を目的として,非線形モデリング手法の開発と関連する統計的推測理論について研究し,本年度は以下のような研究成果を挙げた. 1.汎化能力とモデルの信頼性の向上を計るために,正則化法によって推定したモデルの評価を可能とするベイズ型モデル評価基準の構成について研究した.この評価基準を基底展開法による非線形回帰,識別問題に適用して,手法の性質と特徴を明らかにするとともに,問題点を整理した.さらに,開発したモデリング手法をゲノムデータの判別問題に適用して,有効性を立証した. 2.ノンパラメトリックグラフィカルモデリングの開発を推進し,分布によらない手法を開発して環境汚染物質の複合暴露によるリスク評価に適用した.負の二項分布に基づく分割表の解析では,複雑交絡因子の影響を層別によって制御しリスク比の検定・推定を行う方法を開発した.また,カオス的時系列に関するリアプノフ指数推定法およびウエーブレノトによる非線形回帰モデルの推定法を開発した. 3.複数の母集団において,各母集団から繰り返し測定データが得られたとき,母集団を比較するためにモデルのパラメータの同時信頼区間の近似を与えた. 4.微小拡散をもつ拡散過程に従う離散観測データから,未知のドリフトパラメータや拡散係数パラメータを推定する研究を行った.具体的には,等間隔に観測された離散データから近似マルチンゲール堆定関数を構成して,そこから得られるM-推定量が一致性,漸近正規性,漸近有効性をもつことを証明した. 5.統計的推測において利用されるクラスであるU-統計量と線形順序統計量(L-統計量)との関連を理論的に明らかにした.その上でU-統計量に関するエッジワース展開を使って,L-統計量についての漸近展開を求めた.
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