研究分担者 |
大鹿 健一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70183225)
佐藤 宏樹 静岡大学, 理学部, 教授 (40022222)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10154189)
藤井 道彦 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60254231)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
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研究概要 |
リーマン面上の射影構造の展開写像のホロノミーを用いることによって、リーマン面上の射影構造と曲面群の複素特殊線形群SL(2,C)への表現の共役類との間に1対1対応がつく。とくに興味深いのは曲面群のSL(2,C)への忠実かつ離散な表現の場合である。このとき表現の像は3次元双曲空間に真性不連続に作用するクライン群であり、位相的には曲面と実数の開区間との直積である多様体を一意化する。このような多様体の退化現象をクライン群の言葉で記述することが我々の研究の中心課題である。 この方面の研究で著しいものの一つはW.Thurston等によって示された円周上の曲面束の構造を持つ3次元多様体は、そのモノドロミーが擬アノソフ写像であるとき完備双曲構造を許容するという結果である。このことから円周上の曲面束の構造を持つ3次元双曲多様体を見つける方法として、擬アノソフ写像の曲面群のSL(2,C)への忠実かつ離散な表現の共役類の空間への作用の不動点を探すことが考えられる。 当研究の目的は、この方法に適した座標系をこの空間に導入することであった。穴あき曲面の基本群の忠実な(離散とは限らない)SL(2,C)表現の空間に行列のトレースを利用した座標系を導入し、写像類の作用が有理写像で表わされることをしめした。写像類の不動点は代数的な計算によって求めることができる。これによりコンピュータの援用とSL(2,C)の部分群の離散判定法により、円周上の曲面束の構造を持つ双曲3次元多様体の分類が今後進展することが期待される。
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