研究分担者 |
中村 玄 北州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50118535)
倉田 和浩 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (10186489)
望月 清 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80026773)
吉富 和志 九州大学, 大学院・数理科学研究院, 助手 (40304729)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
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研究概要 |
量子物理学に現れるSchrodinger作用素に対する散乱問題を中心にして,散乱現象の解析と逆問題に関する理論的研究を行った.スペクトルデータを詳しく解析するという順問題の方向と得られたスペクトルデータから元の作用素を求めるという逆問題の両方向にわたってすぐれた成果が得られた.その一部は次のようなものである.磯崎は3体問題の散乱を記述するために,定常Schrodinger方程式の解の無限遠における漸近展開を求め,一般化されたFourier変換との関係を明らかにし,S行列を散乱解の無限遠における漸近展開から導いた.また斉次Schrodinger方程式の解がすべて一般化されたFourier変換によって記述されることを示した.さらに双曲多様体の上でのスペクトル逆問題の研究をすすめ,双曲空間に平行移動による離散群が作用して出来る双曲多様体上でのSchrodinger作用素は,エネルギーを固定したとき,Floquet作用素に対する散乱振幅から再構成できることを示した.これからさらに2次元ユークリッド空間での固有値問題に対する逆問題を考え,ポテンシアルがDirichlet-Neumann作用素から再構成されることを示した.望月-Trooshinは一次元のStrum-Liouville作用素において区間の内部のスペクトルデータから作用素の一意性を示した.倉田は電磁場の中での非線形Schrodinger方程式の解の半古典解析を行った.中村-土田はDirac作用素に対する境界値逆問題を解決した.伊藤-田村はδ-関数型の磁場をもつSchrodinger作用素の漸近解析を行いAharanov-Bohm効果を新しい側面から研究した.Exner-吉富は曲線上のδ-関数型ポテンシアルに対するバンドスペクトルについて考察した.
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