研究課題/領域番号 |
13440049
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 愼宏 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10037278)
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研究分担者 |
小川 卓克 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (20224107)
柴田 良弘 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50114088)
川島 秀一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (70144631)
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キーワード | エネルギー減衰 / 局在非線形的摩擦項 / 時間大域解 / 波動方程式 / 外部問題 / 周期解 |
研究概要 |
代表者中尾は局在的非線形摩擦項をもつ波動方程式及びキルヒホッフ型の準線形波動方程式のエネルギー減衰およびこれらを利用した大域解の存在について考察を続け、成果を得た。 これらはいずれも、線形摩擦項の場合には領域の形状に制限を設けた上でいくつかの研究がなされており、さらにごく最近の代表者の研究により、一般の領域に対して示されていたものである。さらに、14年度においてこれらの結果を(1)波動方程式については「半分線形強摩擦項」の場合に、(2)キルヒホッフ型については「弱非線形摩擦項」の場合に拡張した。これらの結果を踏まえて、今年度は半分線形摩擦項をもつキルヒホッフ型準線形波動方程式に対する大域解の存在証明に成功した。 さらに、上記の方程式の境界条件としては斉次デイリクレ条件が課されているが、これをノイマン境界条件下で考察することは興味深く、数学的には超局所解析を退けることは出来ないという意味で大変困難な問題である。代表者は共同研究者(JSPS博士論文研究生J.J.Bae)とともに領域の一部がノイマン型摩擦条件の場合に線形波動方程式のエネルギー減衰評価を導くことに成功していたが、今年度は摩擦項が非線形の場合について対応する結果を得た。これらをキルヒホッフ型に拡張することも興味深い問題であるが、それはJ.J.Bae氏の博士論文の課題として与えた。 関連した問題とし、外部領域における周期解の存在を考察し、結果の一部をパリにおける研究集会で発表した。 分担者川島は半空間における粘性的非線形保存則のインフロウ、アウトフロウ問題の考察を続け、大域解の存在とその漸近挙動についてさらなる結束を得た。 分担者柴田はナビエ・ストークス方程式の外部問題のうち特に遠方で解が減衰しない場合を考察し、付随するストークス作用素の精密なスペクトル解析をとおして、大域解の存在と安定性について多くの興味深い結果を得た。 分担者小川は実解析的手法に基づき、非線形シュレヂンガー方程式、ナビエ・ストークス方程式の他、走化性粘菌の挙動に関する方程式について興味深い結果を得た。
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