研究分担者 |
小薗 英雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00195728)
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
飯田 雅人 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (00242264)
長澤 壯之 埼玉大学, 理学部, 教授 (70202223)
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研究概要 |
本研究は,反応拡散系を中心に,偏微分方程式の解の空間的構造が時間の経過とともに複雑化する過程を解明することを目的として行っている. 高木はウェイミン・ニィと鈴木香奈子の協力を得て,ギーラーとマインハルトが提唱した活性因子・抑制因子の反応拡散系のダイナミクスを研究し,大きな成果を挙げた.まず,両因子の拡散係数を0として得られる常微分方程式系の解軌道について考察し,初期値によりその正及び負の極限集合を分類した.これに基づき,拡散係数を正とした偏微分方程式系に対し,初期函数が適当な条件を満たせばどのように最大値が大きくともいずれ活性因子も抑制因子もともに0に一様収束することを証明した.これはパターンが一旦形成されてもその後つぶれてしまうことを示唆する全く新しい知見であり,今後一層の体系的な研究が期待される.さらに,常微分方程式系について解が有限時間内で爆発するような初期値の集合を決定した.以上のように,ギーラー・マインハルト系に関しては解を追跡するための基本的な道具が見つかりつつある. 柳田は、藤田型非線型拡散方程式に対する非収束解の存在とその準収束性を解明した.また,フィッシャー型非線型拡散方程式について広がるパターンの解析,三重結節点を伴う変分問題の臨界点の存在とその不安定次元に関する研究を行った. 西浦は、散逸系における安定なパルス解やスポット解の散乱に見られる入出力関係を,反応拡散系の複数の偏微分方程式モデルについて,数値実験を用いて調べた.分水嶺解と呼ぶ,不安定な定常解または周期解まわりの局所ダイナミクスと,解軌道の空間的な位置関係により,様々な入出力関係が形成されることを明らかにした. なお,本研究課題に関する研究集会を2003年10月に盛岡において開催した。
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