研究分担者 |
野呂 正行 神戸大学, 理学部, 教授 (50332755)
中西 康剛 神戸大学, 理学部, 教授 (70183514)
宮川 鉄朗 金沢大学, 理学部, 教授 (10033929)
足立 匡義 神戸大学, 理学部, 助教授 (30281158)
ROSSMAN Wayne 神戸大学, 理学部, 助教授 (50284485)
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研究概要 |
分担者宮川氏は,まず全空間・半空間・外部領域のそれぞれにおける非圧縮粘性流について,その長時間挙動に関する漸近形の研究を行った.その結果,流れは初期速度の減衰性に応じて様々な漸近挙動を行うが,無限遠点で流体が静止するという境界条件の下では,いずれの場合にも,漸近展開の第一項が,熱核あるいはその一階導関数で与えられること,減衰が速い流れにおいては一階導関数が現れることを示した.また,減衰率に上限があることは古くから知られていたが,その上限が実際に上限になっていることも示した.例えば外部領域における流れについては,減衰率の上限を達成する場合には,流れが物体に及ぼす力の総量がゼロでなければならない.これは理想流体におけるダランベールの逆理に相当する事実であり,この逆理を回避すべく導入された粘性流体の方程式においてもやはり同様の解が(数学的には)現れることを示したのは本研究が初めてである.ただ,理想流体の場合にはダランベールの逆理は対称性とは無関係に一般の境界条件の下で生じるのであるが,粘性流体の場合には特別な対称性の下でしか現れないように思われる(厳密な証明はまだないが).これは理想流体理論に対する粘性流体理論の優位を示すものであろう. なお,減衰率の一般的上限を超えて減衰する流れは,一定の対称性を持っている必要がある.これについては,最近の研究において,対称性の高低と減衰率との間に密接な関係があることが判明しつつあり,現在有限群の表現論を用いてその関係の解明と整理を意図しているところである. 二次元流の減衰性の研究では、一般の初期値と対称性の下では,多項式的減衰率を持つ解しか構成出来ず,それらと指数的減衰の流れとの間を補間するような流れが存在するか否かは未解決のままである.
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