研究分担者 |
古島 幹雄 熊本大学, 理学部, 教授 (00165482)
河野 實彦 熊本大学, 理学部, 教授 (30027370)
木村 弘信 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40161575)
上村 豊 東京水産大学, 水産学部, 教授 (50134854)
井上 尚夫 熊本大学, 理学部, 講師 (40145272)
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研究概要 |
合流型超幾何関数を重み付き退化超曲面配置の変形として統一的にとらえ,モジュライ空間の構造を解明することで関数の挙動を記述することを目的としていた。本年度は主に,その基底にあるものとして非合流型(確定特異点型)の場合の研究を行った。 微分方程式の立場から超幾何関数を特徴づけるrigid local systemの概念を採り上げ,研究成果として,その具体的構成法を与え,さらにその切断の,すなわち対応する微分方程式の解の,積分表示を構成した。積分表示は一般に退化超曲面配置に対応するものとなることが判明したが,より扱いやすい退化超平面配置の場合に,配置から関数の漸近挙動・接続係数を計算する手法を開発した。この手法を退化超曲面配置の場合へ拡張することは今後の課題である。 もう一つの方向の研究として,始めに積分表示を与え,その1次元切り口のrigidityを考察した。多くの場合non-rigidとなることが判明し,アクセサリー・パラメターの特殊値との対応をいくつかの例で追跡した。微分方程式の変形の立場でこれらの例を検証することが,今後の興味深い課題であり,パンルベ方程式等の解析に新しい方向を与えると期待される。さらに数論における「幾何に由来する微分方程式」との関係を調べることも,今後の大きなテーマとなる。 合流型の場合について,一様漸近の概念を学び,その解析に当たり積分表示よりも微分方程式の有効性を確認したのは新しい知見である。応用上も重要な一様漸近や超漸近展開の解析に,モジュライ空間の構造を利用する手法を開発することが新しいテーマとして浮かび上がった。
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