研究概要 |
本研究は星間ダストの進化の両端に位置するpresolar grainsに着目し,ダスト生成・分光の室内実験と理論の両面から,その生成候補天体で生成されるダストの特性を明確化することが本研究の目的としている. 本年度はpresolar TiC core-graphite mantle 粒子のケース・スタディーを行ない,生成候補天体で生成されるダストの構造,サイズ,組成の再現と隕石粒子との比較することによって,上記粒子の生成環境の精密決定することができた.この結果は専門学術誌に発表済である.また,AGB星の観測から同定されたと報告されているTiC粒子のスペクトルの解析を行ない,本当に観測されているスペクトルがTiC粒子によるものかどうかの検討を行ない,上記の主張を否定する結論を得た.この結果も専門学術誌で現在印刷中である. これらに加えて,宇宙での物質進化におけるダストの役割に関する解説論文を天文月報に発表した.これも現在印刷中である.エネルギー散逸を伴う線型粘弾性理論の構築およびダスト集合体の力学物性に関する研究を行なった.これらの論文も現在印刷中である. さらに実験面では揮発性分子のクラスターの生成とその赤外分光に成功し,本研究の目的の一つである核生成過程の素過程の解明に向けた実験的基礎を築いた.この研究結果はすでに専門学術誌に投稿中であるとともに,さらなる実験を継続中である.
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