研究課題/領域番号 |
13440064
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 俊雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30186754)
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研究分担者 |
坂口 治隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30025465)
大津 秀暁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90302075)
岩佐 直仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50322996)
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キーワード | 不安定核 / 巨大単極子共鳴 / 核物質圧縮率 / 超前方非弾性散 |
研究概要 |
今年度は、昨年度完成した180度偏向型磁気分析器本体と、その焦点面検出器であるストリップ型シリコン検出器を用いて以下の試験を行った。 最初に、シリコン検出器本体の性能試験を東北大学ダイナミトロンからの0.5-3MeVの陽子、重陽子、ヘリウム4ビームを用いて行った。これは実際の測定で必要な、励起エネルギー分解能0.5MeV(rms)を得る為に必要な陽子に対するエネルギー分解能30-170keV(rms)と、放出角度分解能1度(rms)を得る為に必要な飛行時間分解能0.5-3nsec(rms)を得る事が可能なという基礎研究にあたる。 1.荷電粒子に対するエネルギー分解能は、シリコン検出器裏面からの信号処理により、陽子0.3-3.1MeVに対して22-28keV(rms)が得られ、必要な励起エネルギー分解能を得るのには十分な事がわかった。 2.時間分解能に関しては、当初予定していた、12ストリップからなる1台の検出器を4分割して読み出すのでは、必要な時間分解能は全く得られない事がわかった。その為、新しい前置増幅器を100チャンネル分購入し試験を行い、0.5MeV以上の陽子に対しては約0.5nsec(rms)という非常に良い時間分解能を得る事ができ、本実験ができる見通しがたった。 3.試験ベンチで線源によるシリコンの性能を評価し、陽子の検出エネルギーを必要な0.2MeV程度まで低雑音で測定できる技術を開発した。 このような検出器の基本性能向上をふまえ、中性子過剰核38Sビームを用いて、180度型偏向磁気分析器本体と新しいストリップ型シリコン検出器を組み合わせて試験を行った。その結果、4.実際の実験環境下では、まだ色々なバックグランドが存在する事が判明した。その中で最も重大なものは、高強度2次ビームに起因するバックグランドで、各種シールドなどを用いて減らす事を試みている。 5.実際の実験環境下でも、0.2MeV以上のエネルギーを持つ陽子に対して、エネルギー/時間分解能は十分得られているようである。 これらをふまえ、色々な改善をほどこした試験を4月に行い、最終判断を行う。
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