研究課題/領域番号 |
13440066
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
福田 善之 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (40272520)
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研究分担者 |
森山 茂栄 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (50313044)
太田 忠之 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10054363)
千葉 芳明 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40113881)
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (70272523)
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キーワード | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 太陽ニュートリノ / スーパーカミオカンデ / インジウム / ppニュートリノ / 半導体検出器 |
研究概要 |
昨年度に開発した36m^2×500μmの半絶縁型インジウム・リン(InP)半導体検出器(ペルチェ素子無)について、新規に購入した最大印可電圧3kVのバイアス電源を用いて放射線源による再測定を行った。^<241>Amのアルファ線による応答では、室温22度においてバイアス電圧が1.2kV以上で明らかなシングルピークが観測された。従って、電荷収集効率(CCE)の電圧依存性を測定した結果、バイアス3.0kVにおいてCCEが80%に達していると結論を得た。但し、電子・ホール対を生成するための平均エネルギーは、一般的に使用されている4.2eVではなく1.03eVを使用した。この値はSiダイオードによる実験装置のCCEのキャリブレーションの結果から得られた。従って通常のエネルギーの約1/3以下で電荷が生じていることになり、世界初の実測データが得られた。一方、γ線源による測定では常温では光電ピークおよびコンプトン端の観測には至らなかった。これは検出器の有効領域(μτV/d:μはキャリアー移動度、τはトラップによる寿命、Vはバイアス電圧、dは検出器の厚さ)が少ないためと考えられた。そこで、^<137>Csの662keV単色γ線を用いて、コンプトン電子による電荷分布をデータとシミュレーションで比較した。X^2検定の結果では100μm以下と得られた。これは検出器の厚さが500μmに比べ小さく、予想通りの結果であった。但し^<57>Coからの122keVγ線を使用すれば光電ピークが観測できると考えられるが、常温の測定では熱雑音により不可能である。そこで、現在ペルチェ素子に装着したInP検出器を冷却して観測を行っている。冷却では水蒸気氷結による表面漏電流が別の雑音を生じるため、新たに専用の真空チャンパーとオイルレスのダイヤグラム式真空ポンプを購入した。現在、真空状態の試験を行っており、試験終了後に真空環境下において-40度まで冷却した測定を行う予定である。予備的な測定では-20度での雑音レベルは室温に比べ一桁以上減少しており、また^<137>Csのコンプトン電子の電荷分布からCCEの改善も見えていることから、低温化による有効領域の拡大が非常に期待される。
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