宇宙からくるaxionの点源を探索するために、Axion Helioscopeを真南に固定し、地球の動きにまかせて天球のスキャンを行った。10日間にわたり1日に一度Axion Helioscopeの仰角を変化させることにより、天球上の約10%の領域を観測した。この測定では、天球上の各点での測定の積分時間は約60秒となる。 また、銀河中心、さそり座X-1、帆座X-1およびかに星雲に対して各2日間の追尾測定を行った。測定に際しては、約6時間または12時間ごとに追尾測定とバックグラウンド測定を交互に行い、それぞれの差をとった。測定対象を追尾したため、この測定の積分時間は非常に長く、58000秒から80000秒程度である。 これらの測定の結果、アクシオンの飛来を確認できる信号は見つからなかった。しかしながら、この測定によって天体から飛来するアクシオンの地上での流束に対して制限をつけることができる。まず、天球面のスキャンから、質量が0.03eVよりも軽いアクシオンに対してその地上での流束に対して上限値を与えた。次に、天体追尾では、スキャンよりも2桁ほど良い制限を対象天体からのアクシオン流束に対してつける事ができた。また、追尾対象のうち、帆座X-1とかに星雲に対しては中性子星の核からの制動放射を、さそり座X-1に対しては降着円盤からの黒体輻射を仮定する事により、それらの天体のアクシオン光度に対して制限をつける事ができた。
|