研究概要 |
Bファクトリー加速器KEKBは確実にルミノシティ記録を更新し,現在,最大ルミノシティでも,積分ルミノシティでも世界一を誇っている。Belle実験の積分ルミノシティも,実験開始当初の第一目標であった100fb^<-1>を超え,実験成果も次々と出ている。 この実験課題のφ_2測定に関しては,まずはペンギン汚染はあるもののより単純なB^0(B^0bar)→π^+π^-モードの解析に集中した。積分ルミノシティ78fb^<-1>のデータをあらゆる角度からチェックして得た結果は,論文1の結果を追認し,ほぼ確実に,そしてφ_1測定とは独立に,B中間子系でのCPの破れの存在を実証するものであった。すなわち,A=0.77±0.27(統計)±0.08(系統),S=-1.23±0.41(統計)+0.08/0.07(系統)という結果である(論文2)。ここで,A(S)は直接的(間接的)CPの破れを表すパラメータである。とくにSはペンギン汚染がなければS=sin2φ_2である。CP不変性が破れていない,すなわちA=S=0の可能性は99.93%の確率で排除された。今後は他の崩壊モード,たとえばB→ρπでの解析をスタートさせたい。論文3は既にこのモードの分岐比が測られたことを示す。また,論文4-6は,当グループのメンバーが中心となって開発した高効率のフレーバタギング法を用いての成果の例である。 一方,時間依存性の測定に本質的に重要な役割を果たすバーテックス検出器のアップグレード計画(SVD2)は2003年夏のインストールに向けて順調に準備が進んでいる。読み出しのVA1TAチップからのトリガーの試験の結果,レベル0トリガーが使える目処が立ったところである。
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