研究課題
極低エミタンス電子ビームの生成・保存は第3世代放射光源(SOR)・自由電子レーザー(FEL)・超高エネルギー電子・陽電子線型加速器(JLC)等にとって必要不可欠の技術である。本研究の目的はこれらの電子ビームのエミタンスを非破壊的・直接的に測定する高性能モニターの開発にある。特にKEK・ATFにおけるダンピング・リング内の電子ビームエミタンスを測定する事を直接的目標とする。本研究の意義は、(1)レーザーワイヤーの技術を確立すること、及び(2)それを使ってATFダンピング・リング内の電子ビームのエミタンスを測定し・ビームダイナミクスを研究することにある。本モニターでは、2枚の高反射率鏡を相対させ、この中に閉じ込められたガウスモード光を光標的として使用している(ファブリ-ペロ型光共振器)。この共振器はビームプロファイルモニターの観点からは2つの量で特徴付けられる。即ち、共振器内のビーム太さを表すビームウエスト、および光共振器内の増幅率を表すフィネスである。フィネスを増すことで実効的光強度が増し、モニターは高速度になる。フィネスを増すに鍵を握る技術は高反射率・低損失ミラーの開発と、安定な共振器本体およびフィードバックシステムの開発である。平成13年度の具体的成果は以下のとおりである:(1)レーザー光標的を様々な角度から改良した。この中でも光共振器用高反射率・低損失ミラーを開発し、共振器のフィネスを2000以上にしたことは特筆に価する。これにより共振器内の実効光強度は昨年度に比べ約7倍、当初に比べ20倍以上に増加した。(2)マルチバンチ運転モードにおける垂直方向電子ビームのエミタンスの予備的測定を行った。