研究概要 |
ダブルラムダハイパー核の生成には、BNL-AGS加速器のDビームラインで供給される大強度K^-ビーム(1.8GeV/c、10^6個/秒以上)による(K^-,K^+)反応を用いる。ダブルハイパー核の同定・質量決定は、2回弱崩壊するパイ中間子の運動量を測定する事で行う。このための中心装置、円筒型検出器系(CDS)は既に完成・稼働しているが、本年度はいくつかの改造を行った。 1,従来のプリアンプではノイズに弱く発振が問題であったので、プリアンプとディスクリミネーターとが一体となった新しいものに置き換える。これはビームによるテストで良好な結果を得ており、現在全系の取り替えを進めている。 2,標的付近に、2本のパイ中間子のトラックのビーム軸方向の位置を、1mm以下の精度で測定するvertex chamberを設置する予定である。概念設計が終了し、材料の選択作業に入っている。又、場所の制約からカソード読み出しタイプとなるが、高い計数率で働かせる必要があり、ADCで読む方式が使えるかどうか疑問がある。そのため、1)で開発されたpreamp/discriを用いてパルス幅の情報だけで、どれだけの位置分解能がでるかを調べている。 3,CDSの磁場を15%強くし、軌跡の決定精度(パイ中間子の運動量分解能)を上げる事を考えている。TOSCAによる磁場シミュレーションを行い、15%強くしても磁場の一様性は問題ないことがわかった。 4,実験中にCDSのワイヤーが切れた場合の取り替え作業効率を上げるため、CDSの側面の一部をマイラー膜にする作業を行っている。 5,Dビームラインのデータ収集系の高速化は完了した。
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