研究概要 |
本年度は主として、ダブルラムダハイパー核の探索実験の中心装置、円筒型検出器系(CDS)の改造および実験条件の最適化を行った。 1,CDSのワイヤーが実験中に切れた場合に、取り替え作業を効率よく行えるよう、CDSの側面の一部をマイラー膜にした。同時に、ワイヤーの補修、および張力調整を行った。今後、磁石の中にロールインする際にスムースに動くよう、支えの部分を改造する。 2,標的付近の2本のπ中間子の位置を精度良く決めるために、vertex chamberを導入する。場所の制約から読み出し部分の構造に工夫が必要で、カソード面として特殊な3層の薄いフィルムからなるprinted circuitを用いることとし、製作を完了した。今後チェンバーとしての性能テストを進める。 3,実験標的として、^9Beの代わりに^7Liを用いることとした。これにより、最終生成核を限定し、目的のダブルハイパー核を不定性無く同定することができると期待される。又、この^7Li標的の位置をビームの下流に移動することと、トリガー検出器を最適化することにより、検出効率を2.5倍にできることがわかった。 4,関連するハイパー核の実験を高エネルギー加速器研究機構で行い、ハイペロン・核子相互作用に関して、多くの新しい知見を得ている。更に、(π^-,K^+)反応により中性子過剰ハイパー核を生成する実験を新しい試みとして行い、興味ある予備的結果を得ている。
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