研究課題
基盤研究(B)
エネルギーフロンテイアの物理を担う高エネルギー加速器用超伝導磁石では、高精度、高磁場であることが要求される。現在、CERNでは、LHC(Large Hadron Collider)が建設中であり、高エネルギー加速器研究機構は、その衝突点近傍の超伝導四極磁石の開発製作を担当している。この加速器が完成した後、長期に亘って高エネルギー物理をリードするためには更なる加速器性能の向上が必要であり、そのためにはより強力な二極、四極電磁石要求される。それら磁石の開発の第一歩として、1)量産超伝導四極磁石における各種特性の統計的データの収集と将来の高磁場超伝導磁石開発に必要な基礎データの蓄積、2)高磁場超伝導線材(急熱急冷法Nb3Al)の開発研究を行った。1)においては、LHC用に量産した16台の超伝導四極磁石の冷却・励磁・磁場測定を行い、機械特性、磁場特性に関する各種データの蓄積を行った。これらデータは、将来の高磁場超伝導磁石開発の基礎となると思われる。2)に関しては、Nb_3Al線材の10〜15T領域における臨界電流密度の向上を目指し、線材製作条件の最適化のための基礎研究を行った。本研究で目標とした2000A/mm^2@10T,4.2Kの電流密度に達することは出来なかったが、今まで20T以上の高磁場領域での特性しか研究されていなかったNb_3Al線材の低磁場(10〜15T)特性が明らかになり、今後の高電流密度化に有益な知見が得られた。
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